ガバナンス体制
コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方と体制
コーポレートガバナンス体制(2020年6月25日現在)


取締役会
法令、定款に定める事項、経営の基本方針などを決議し、当社および主要な事業会社の業務執行案件を監督します。
経営会議
社長決裁にあたっての協議機関として、社長執行役員、副社長執行役員、常務執行役員のうち社長執行役員が指名する者、主要な事業会社の社長等から構成する「経営会議」を設置し、定期的に、また、必要に応じて随時、開催しています。
これにより、当社および主要な事業会社の経営陣による慎重な審議の上、適正かつ効率的な意思決定を行います。
項目 | 内容 |
---|---|
機関設計の形態 | 監査等委員会設置会社 |
監査等委員でない取締役の人数 | 11名(社内8、社外3) |
監査等委員である取締役の人数 | 5名(社内2、社外3) |
取締役の合計人数 | 16名(社内10、社外6)うち女性役員3名 |
社外(独立)役員比率 | 37.5% |
女性役員比率 | 18.8% |
監査等委員でない取締役の任期 | 1年 |
監査等委員である取締役の任期 | 2年 |
執行役員制度の採用 | 有 |
社長の意思決定を補佐する機関 | 経営会議 |
取締役会の任意諮問機関 | 指名諮問委員会・報酬諮問委員会を設置 |
コーポレートガバナンスに関する基本方針
当社は、ENEOSグループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るため、グループの経営における透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行う仕組み(コーポレートガバナンス)を構築・運営することを目的とし、「ENEOSグループのコーポレートガバナンスに関する基本方針」を制定しています。これは、東京証券取引所が定める「コーポレートガバナンス・コード」を踏まえて、当社グループのコーポレートガバナンスに関する基本的な考え方およびその構築・運営に関する事項を体系的かつ網羅的に定めたものです。なお、この基本方針は、ENEOSホールディングスの株主をはじめ、当社グループのお客様、お取引先、従業員、地域社会等あらゆるステークホルダーに対するコミットメントとして、ENEOSホールディングスのウェブサイト等に開示しています。
コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方
ENEOSグループは、コーポレートガバナンスを適切に構築・運営することにより、グループ理念を実現し、もって、ENEOSグループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図ります。このような認識のもと、当社は、以下のとおり、ENEOSグループのコーポレートガバナンスを構築・運営します。
コーポレートガバナンスの構築・運営に関する基本的事項
- 1.持株会社としての経営管理
- 当社は、グループ全体最適の観点から、ENEOSグループ理念、ENEOSグループ行動基準、中長期経営計画・予算等の経営の基本方針(以下「経営の基本方針」という。)の策定、経営資源の配分および各子会社の経営管理を行います。
- 2.当社と主要な事業会社の経営体制
- 当社は、エネルギー事業を中心に据えたグループ運営体制をとるため、当社とENEOS株式会社について、役員の兼任、会議体の一体的運営、管理部門の統合等により経営を一体化します。
JX石油開発株式会社およびJX金属株式会社は、当社が定める経営の基本方針の下、それぞれの事業特性に応じて、自律性・機動性・独立性を高めた業務執行体制を構築します。
- 3.機関設計
- 当社は、監査等委員会設置会社とします。
- 4.取締役会
- 当社の取締役会は、取締役会長、取締役社長、複数の常勤取締役、各主要な事業会社の社長を兼務する非常勤取締役および社外取締役で構成し、次の方針に基づき運営します。
- (1)経営の基本方針の審議・決定および業務執行に対する監督に重点を置きます。
- (2)業務執行の機動性の向上を図るため、重要な業務執行の決定の一部を当社の取締役社長に委任します。
- (3)当社および主要な事業会社の重要な業務執行案件にかかる投資採算性評価・リスク・進捗等の重要事項について、当社の取締役社長および各主要な事業会社の社長等から報告を受け、経営の基本方針との適合性を検証し、これらを監督します。
- 5.監査等委員会
-
- (1)当社の監査等委員会は、強力な情報収集力を有する常勤の監査等委員と、豊富な知識・経験に加え、強固な独立性を有する社外取締役である監査等委員とが適切に連携し、高い実効性と客観性をもった組織的かつ体系的な監査を行います。
- (2)当社の監査等委員会は、監査等委員が取締役としてそれぞれ有する取締役会における議決権の行使および監査等委員でない取締役の人事・報酬に関する意見陳述権の行使を通じて、業務執行について監督を行います。
- 6.社外取締役
- 当社は、社外取締役の豊富な知識・経験を経営に活かすとともに、意思決定の透明性・客観性を確保するため、次の取組みを行います。
- (1)当社の取締役会において経営の基本方針を決定するにあたり、その検討段階から社外取締役の関与を求め、多角的な観点から検討・議論を重ねるとともに、重要な業務執行の決定および重要な業務執行の監督にあたっては、社外取締役の意見を踏まえ、経営の基本方針との適合性を十分検証します。
- (2)当社の取締役会において当社の取締役等の人事・報酬を決定するにあたり、社外取締役が過半数を占め、かつ社外取締役が議長を務める指名諮問委員会・報酬諮問委員会に諮問することにより、その決定プロセスの透明性を確保します。
- 7.執行役員および経営会議
-
- (1)当社は、取締役会の決定に基づき機動的に業務を執行する機関として、執行役員を置きます。
- (2)当社は、取締役社長が社長執行役員として業務執行を決定するにあたり、社長決裁事項の協議機関として、社長執行役員、副社長執行役員、常務執行役員のうち社長執行役員が指名する者、主要な事業会社の社長等から構成する経営会議を設置し、慎重な審議を経て意思決定を行います。
- (3)経営会議には、常勤の監査等委員が出席し、重要な意思決定の過程および業務の執行状況を把握するとともに、これらを他の監査等委員と共有します。
- 8.主要な事業会社におけるガバナンス体制
-
- (1)各主要な事業会社は、監査役設置会社とします。各主要な事業会社においては、取締役が相互監視機能を十分発揮するための仕組みとして取締役会を設置し、各主要な事業会社自らがリスク分析や経営の基本方針との適合性の検証を十分行います。また、当社の常勤の監査等委員については、ENEOS株式会社の監査役(常勤)を兼務するとともに、JX石油開発株式会社およびJX金属株式会社の非常勤監査役として派遣し、主要な事業会社の取締役の職務執行を監査します。
- (2)主要な事業会社の業務執行(当該主要な事業会社の傘下の子会社の重要な業務執行案件を含む。)については、当該主要な事業会社にて決定します。
- (3)主要な事業会社は、重要な業務執行の内容その他当社が定める事項を当社に報告します。
コーポレートガバナンスの構築・運営に関する対応方針
当社は、東京証券取引所が定める「コーポレートガバナンス・コード」の趣旨に賛同し、当社がコーポレートガバナンスを構築・運営する上で有効と考えることから、すべての原則に応諾することを基本方針とし、ENEOSグループとしてこれを実践します。
指名諮問委員会・報酬諮問委員会の構成(2020年6月25日現在)と2019年度実績
諮問機関 | 指名諮問委員会 | 報酬諮問委員会 |
---|---|---|
議長 | 社外取締役(大塚)※ | 社外取締役(大塚)※ |
構成(議長を含む) | 代表取締役2名(杉森、大田(勝))※ 社外取締役3名(大塚、大田(弘)、宮田)※ |
代表取締役2名(杉森、大田(勝))※ 社外取締役3名(大塚、大田(弘)、宮田)※ |
目的 | 取締役候補者の決定プロセスの透明性の確保 | 取締役および執行役員の報酬等にかかる決定プロセスの透明性・客観性の担保 |
2019年度実績 | 合計5回開催し、取締役選任候補者案、後継者計画等について審議等を行いました。 | 合計5回開催し、役員報酬体系、役員報酬水準、株式報酬制度等について審議等を行いました。 |
- ※役員については、役員一覧をご参照ください。
指名諮問委員会
報酬諮問委員会
相談役および顧問の廃止
当社は、コーポレートガバナンスの強化の観点から、2019年6月26日付で、相談役および顧問を廃止しました。なお、退任役員の一部について、当該役員の知見を活用し、対外業務(財界活動、業界活動、公職への就任等)を委任する必要がある場合には、指名諮問委員会への報告、取締役会決議等所要の手続を経て、当該役員に対して特別理事または理事の職を委嘱することがあります。
取締役会の実効性評価
取締役会の実効性評価の概要
当社の取締役会は、2019年11月から2020年1月にかけて、社外を含む全取締役を対象としたアンケートを行い、取締役会全体の実効性について評価を実施いたしました。その分析・評価結果については、2020年4月22日付で、取締役全員に通知しております。
取締役会の構成・ガバナンス体制、取締役会による監督、経営戦略に関する議論、取締役会の運営、取締役会の文化、株主との対話の各項目についてアンケートを行い、分析した結果、全ての設問で肯定的回答が過半数に達しており、取締役会の実効性は概ね確保されていると評価しております。
また、株主との対話のフィードバックの充実、長期ビジョン・中期経営計画の議論の拡充等、より実効性ある議論を行うための諸施策の実施を進めたこと、昨年度の実効性評価を受け、社外取締役への事前説明を早期化したことについても、各取締役から評価されております。
一方、監督機能の強化、経営と執行との更なる分離等について課題が示されたことから、今後、一層の改善に取り組んでまいります。
実効性評価のプロセス

アンケート結果
全体(36問)の全ての質問について、過半数以上の肯定的な意見が出されました。
評価項目 | 質問数(A) | 肯定的回答が過半数に達した 質問数(B) |
割合(B/A) |
---|---|---|---|
取締役会の構成・ガバナンス | 6 | 6 | 100% |
取締役会の運営 | 13 | 13 | 100% |
取締役会の文化 | 2 | 2 | 100% |
取締役会による監督 | 6 | 6 | 100% |
経営戦略に関する議論 | 6 | 6 | 100% |
株主との対話 | 2 | 2 | 100% |
総括 | 1 | 1 | 100% |
合計 | 36 | 36 | 100% |
アンケートの自由回答欄に記載された意見例
- 早い段階から、長期ビジョンや中期経営計画の議論を複数回実施し、社外取締役の多様な視点を取り込んだ議論がされた点を評価する。
- 投資家動向について、以前に比べ詳細な報告がなされるようになった点を評価する。
- 社外取締役への事前の資料提供や担当部門からの説明は、取締役会での議案の理解に役立っている。
取締役候補者の選任方針
当社は、取締役の3分の1以上を独立社外取締役※とするよう努めることとしており、2020年6月25日現在の社外独立役員比率は37.5%です。
当社の監査等委員でない取締役については、高い職業的倫理観を持ち、戦略的な思考力・判断力に優れ、かつ、変化への柔軟性等を有し、グループ全体最適の観点から意思決定と経営の監督ができる者を選任しています。そのうち2名以上は独立社外取締役としています。
監査等委員である取締役については、高い職業的倫理観を持ち、法律・財務・会計等について一定の専門的な知識を備え、取締役の職務執行を適切に監査するとともに、業務執行について適切に監督できる者を選任し、このうち過半数は独立社外取締役としています。
- ※独立社外取締役とは、当社の「独立役員の独立性判断基準」を満たす社外取締役をいいます。
社外取締役のサポート体制
当社の監査等委員でない社外取締役3名および監査等委員である社外取締役3名は、いずれも、当社が上場している東京および名古屋の両証券取引所の定めに基づく独立性基準を満たしています。取締役会の議案の資料は原則3日前までに社外取締役に送付するとともに、事前に説明しています。また、社外取締役を含む全監査等委員による監査監督機能充実のため、執行部門から指揮命令系統(人事評価を含む)を明確に独立させた「監査事務室」を置き、監査等委員の職務を補助する専任スタッフを配置しています。さらに、監査等委員でない社外取締役の業務遂行を支援する「取締役事務室」を設置し、専任スタッフを配置しています。
取締役および主要な事業会社の監査役のトレーニング
当社および主要な事業会社の取締役ならびに主要な事業会社の監査役は、グループ理念を実現し、ENEOSグループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るべく職務を遂行する責務を負っています。そのために必要な知識・能力の向上を支援するために、当社および主要な事業会社は、当該の取締役ならびに監査役に対して、会社法、内部統制システム、会計・税務、事業戦略、組織等に関する研修を受ける機会を提供するほか、自己研鑽に必要な費用を負担しています。さらに、社外取締役に対しては、就任時にENEOSグループの事業に関する基本的事項を説明するとともに、就任後も理解を深めるための事業説明会や事業所見学等を実施しています。
社内取締役および社内監査役を対象としたトレーニング(2019年度および2020年度)
テーマ | 対象 | 時期(年度) | 研修内容 |
---|---|---|---|
会社法/ コーポレートガバナンス |
新任者 | 2019、2020(予定) | 取締役・監査役の義務・責任、取締役会の役割、コーポレートガバナンスなどに関する基礎知識 |
取締役・監査役に求められる知識・能力向上のための集合研修 | 全員 | 2019、2020(予定) | 左記テーマに関する講演会 |
内部統制 | 新任者 | 2019、2020(予定) | 内部統制に関する基礎知識 |
経営管理の仕組み | 新任者 | 2019、2020(予定) | ENEOSグループの経営管理・投資管理の仕組み |
財務・IR | 新任者 | 2019、2020(予定) | 当社の財務の現状と課題、機関投資家の意見など |
社外取締役を対象としたトレーニング(2019年度)
テーマ | 対象 | 時期(年度) | 研修内容 |
---|---|---|---|
コーポレートガバナンス | 新任者 | 2019 | JXTGグループのコーポレートガバナンス |
内部統制 | 新任者 | 2019 | JXTGグループの内部統制の体制 |
JXTGホールディングス・主要な事業会社の概要 | 新任者 | 2019 | JXTGホールディングスならびにJXTGエネルギー、石油開発および金属の各事業会社に関する基礎知識 |
財務・IR | 新任者 | 2019 | JXTGホールディングスの財務の現状と課題、機関投資家の意見等 |
事業所視察 | 全員 | 2019 | (JXTGエネルギー)中央技術研究所、根岸製油所 |
役員報酬の決定
取締役の報酬等の算定方法に係る決定に関する方針
監査等委員でない取締役(社外取締役を除く)
当社の監査等委員でない取締役(社外取締役を除く)の報酬等については、役割に応じて支給される月額報酬ならびに業績に応じてその額が変動する賞与および業績連動型株式報酬の3種類で構成しており、当該事業年度の会社業績に加えて、中長期的な株式価値が報酬に反映されるバランスのとれた報酬体系としています。
監査等委員でない社外取締役
当社の監査等委員でない社外取締役の報酬等については、当社の経営に対して指導・助言を行い、併せて、独立した客観的観点から経営の監督を行うという役割を考慮して、月額報酬としています。
監査等委員である取締役(社外取締役を含む)
当社の監査等委員である取締役の報酬等は、その職務の独立性という観点から月額報酬としています。
参考
当社の監査等委員でない社外取締役の報酬等の決定方針については、報酬諮問委員会(社外取締役3名、代表取締役2名で構成。議長は社外取締役)の審議・答申を経て、取締役会の決議によって決定しています。なお、報酬諮問委員会は、監査等委員会が株主総会において監査等委員でない取締役の報酬に関する意見陳述権を的確に行使できるよう、監査等委員会が選定した監査等委員1名の出席を認めています。
取締役の報酬等の限度額等
区分 | 種類 | 限度額等 | 株主総会決議 |
---|---|---|---|
監査等委員でない取締役 | 月額報酬および賞与 | 1事業年度につき11億円以内(うち監査等委員でない社外取締役分2億円以内) | 第8回定時株主総会 |
株式報酬 | 3事業年度につき
|
第10回定時株主総会 | |
監査等委員である取締役 | 月額報酬 | 1事業年度につき2億円以内 | 第8回定時株主総会 |
株式報酬制度
当社は2017年度から、監査等委員でない取締役(社外取締役を除く)に対する株式報酬制度を導入しています。この制度は、役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託と称される仕組みを採用し、連続する3事業年度にかかる対象者の職務執行期間を対象として、役割や業績目標等の達成度に応じて、対象者に当社株式の交付、または、交付される当社株式のうち50%の換価処分金相当額の金銭の給付を行うものです。
株式報酬制度の改定
当社は、2020年6月25日開催の第10回定時株主総会において、中長期的な経営戦略と対象者の報酬制度の連動性を一層高めること、対象者の企業価値向上への貢献意識および株主重視の経営意識を醸成すること、環境保全をはじめとした持続可能な社会の構築に向けた取り組みを推進することを目的に、上記の株式報酬制度を業績連動性のある内容に改定しました。
この改定により、対象者に交付される当社株式は、業績目標等の達成度に応じて、0~200%の範囲で変動するものとなりました。業績目標等として使用する指標、目標値および構成比は、報酬諮問委員会の審議を経た上で決定し、2020年度から2022年度までの3事業年度における指標は、営業利益(在庫影響を除きます。)、フリーキャッシュフロー、ネットD/Eレシオ、ROE、総還元性向およびCO2排出削減量としています。
役員区分ごとの報酬等の額(2019年度)
役員区分 | 報酬等の総額 (百万円) |
報酬等の種類別の総額(百万円) | 対象となる 役員の員数(名) |
報酬等の種類別の総額(百万円) | 対象となる 役員の員数(名) |
|
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月額報酬 | 賞与 | 株式報酬 | ||||
監査等委員でない取締役 (社外取締役を除く) |
398 | 285 | 36 | 12 | 77 | 12 |
監査等委員である取締役 (社外取締役を除く) |
68 | 68 | - | 2 | - | - |
社外取締役 | 43 | 43 | - | 3 | - | - |
社外取締役 監査等委員 |
40 | 40 | - | 4 | - | - |
- ※株式報酬の金額は当事業年度における費用計上額を記載しています。
コーポレート・ガバナンス報告書
当社は、証券取引所の規則に基づき、コーポレート・ガバナンスについての考え方などを記載した報告書を提出・開示しています。
リスクマネジメント
ENEOSグループでは、経営に関するリスク事象に的確な対応を図るため「全社的リスクマネジメント(Enterprise Risk Management:ERM)システム」を導入しています。
全社的リスクマネジメント(ERM)
当社は2017年度から、経営企画部において、COSO※ERMフレームワークに基づくERM体制の整備・運用を進めてきました。
役員・管理職層へのインタビュー結果や社会・経済情勢の変化等を念頭に置きながら、当社グループに発生し得るリスク事象を抽出し、その影響度や発生可能性を基準に沿って評価します。その上で、経営会議で「重点対応リスク事象」を選定し、対応策の検討・実行状況を経営会議と取締役会で報告することにしています。
なお、影響度、発生可能性の類型は以下のとおりです。
影響度について
影響度 III | グループ全体に重要な影響をもたらす可能性があり、早急に対策を実施するもの。 |
---|---|
影響度 II | グループ全体に一定の影響をもたらす可能性があり、具体的な対策を検討するもの。 |
影響度 I | グループ全体への影響はほぼなく、事業会社で管理可能であり、グループ全体での対応が不要なもの。 |
発生可能性について
発生可能性3 | すでに発生している、または2~3年に1回以上発生しているもの。 2~3年以内に発生すると見込まれるもの。 |
---|---|
発生可能性2 | 10年に1回以上発生しているもの。 5~10年以内に発生すると見込まれるもの。 |
発生可能性1 | 10年に1回未満の発生または過去発生していない。 10年以上先に発生すると見込まれるもの。 |
2018年度は、こうしたERMプロセスに関する基本的事項を定めた「グループ経営に関するリスクマネジメント規程」および「運用ガイドライン」を制定しました(2019年4月1日付)。
2019年度は、この規程に沿って、リスク事象の抽出・評価・対応を継続的に進めていきます。
なお、中核事業会社であるENEOS、JX石油開発、JX金属の各社においては、それぞれの事業内容・特性に即したリスクマネジメント体制の整備・運用を進めています。
当社および中核事業会社の各リスクマネジメント総括部署は、それぞれ相互連携の上、リスク情報の共有化を図っています。その中で、中核事業会社において、当社グループの経営に重大な影響を及ぼすリスク事象が確認された場合、当社と連携した上で、当該リスク事象への対応策を検討・実行する体制を構築しています。
- ※COSO=Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission:トレッドウェイ委員会支援組織委員会が発表した内部統制のフレームワークで、世界各国で採用されている。
内部統制

当社は、ENEOSグループの理念と行動基準を踏まえ、業務の適正を確保するための内部統制システムを整備、運用しています。取締役会において「内部統制システムの整備・運用に関する基本方針」を定め、運用状況を監督しています。
ENEOSグループでは、内部統制部が中心となって内部統制システムの整備・運用を支援・総括しています。当社は、会社法、金融商品取引法における内部統制を含めた内部統制システムを構築しています。業務全般における内部統制については、COSOフレームワークがグローバルスタンダードとなっています。当社ではこのフレームワークに基づいて、事業環境の変化に柔軟に対応できる「リスクベース」のPDCAサイクルに沿った各組織の自律的な内部統制の仕組みを構築し強化しています。この各組織における内部統制は、2018年度から当社およびENEOSで順次、導入・展開しており、2019年度からは他のグループ会社に順次導入・展開していく予定です。
また、2019年4月に制定した当社の「グループ経営に関するリスクマネジメント規程」やグループ各社のリスク管理に関する規程に基づいたリスクマネジメント活動とも連携し、内部統制活動を展開していく予定です。
事業活動におけるリスク評価
ENEOSグループでは、事業活動におけるさまざまなリスクに対処するための社内規程類を整備するとともに、新規投資案件の審査において、カントリーリスクや為替変動リスク等のほか、生物多様性や環境法規制等の対応範囲の特定を含む環境リスク、水等を含む原料調達リスク、人権や労働安全衛生面を含む人材リスク等のESG分野のリスクについても分析・評価を行い、必要に応じて、適切な対策を講じています。
例えば、投資案件審査の際、最終決定に至る前にステージゲート制度に基づいた審査を実施しています。ステージゲート制度とは、事業戦略を推進する上で重要な案件を効率的に絞り込むことを目的とした制度で、投資案件の初期検討から実行に至るまでの過程を複数の検討段階(ステージ)に分割し、ステージごとに審査の場(ゲート)を設けるものです。審査の際には、ESG分野のリスクを含む、さまざまなリスクを、感応度分析、ケース分析等により明確化するとともに、極力リスクを減じる手段を講じるように努めています。また、これらの重要な投資については、一定期間経過後にフォローアップを行い、当初見通しに対する環境変化等による影響を明確にし、その後の事業継続の可否を判断しています。
さらに、既存事業におけるESG分野のリスクについては、CSR推進体制の枠組みにおいて、適切に管理・監視しています。
緊急時対応
ENEOSグループの経営に重大な影響を及ぼす危機・緊急事態が発生した場合は、当社が全体統括を担うこととし、被害を最小限に抑えるために取るべき対応をまとめた「危機・緊急事態対応規程」を定めています。
当社危機管理部を緊急事態への対応にかかる常設の事務局とし、危機管理部長が事務局長となり、当社およびグループ各社において緊急事態が発生した場合は、緊急事態やそのために講じた措置の内容を直ちに事務局長へ報告する体制をとっています。
また、緊急事態の重大性に応じて、当社判断のもと、当社社長を本部長とする対策本部、またはグループ会社との合同対策本部を設置することで、迅速かつ的確に緊急事態に対応し、当社グループに課せられた社会的使命を全うすることとしています。
情報セキュリティ
ENEOSグループは「ENEOSグループ情報セキュリティ基本規程」に則り、会社の資産である会社情報の不正な使用・開示および漏えいを防止するとともに、会社情報の正確性・信頼性を保ち、改ざんや誤処理を防止し、許可された利用者が必要なときに確実にその会社情報を利用できるようにしています。
また、個人情報保護については、「個人情報保護要領」を策定し、個人情報保護法その他の関係法令を遵守し、個人情報を適切に取り扱うためのルールを定め、個人の権利・利益の保護を図っています。
サイバーセキュリティ対策
ENEOSグループでは、年々巧妙化するサイバー攻撃から会社の重要な情報やシステムを守るため、従業員が不審なメールを受信した際の対応訓練や注意喚起、多言語翻訳した教育資料を使用したグループ全社のセキュリティ教育などを実施しています。
また、グループ全社が守るべきルールとして「ENEOSグループITセキュリティ基本要領」を制定し、グループ全体でサイバーセキュリティ対策のさらなる強化を推進しています。
さらに、政府が2019年4月に設立した「サイバーセキュリティ協議会」にENEOSが重要インフラ事業者として参加し、行政機関やサイバー関連事業者、研究機関等との情報共有および必要対策の協議を行っています。
気候変動問題に関するリスクと事業機会
気候変動に関する認識

ENEOSグループは、気候変動問題を全社的リスクマネジメントにおける経営戦略上の重要なリスク・事業機会の1つと認識しており、気候変動関連のリスク・機会を戦略策定プロセスに取り込み、中長期の事業戦略に反映しています。
また、当社は2019年5月27日に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に賛同する署名を行いました。
TCFDは、投資家が適切な投資判断を下すことができるよう、各企業に対して、気候変動が各企業にもたらすリスクと機会について適切な情報開示を求めています。
当社グループは、エネルギー・素材の安定供給を果たす企業の責務として、今後も持続可能な社会の実現に向けて積極的にESGに関する取り組みを推進するとともに、統合レポートなどを通じて可能な限り同提言の趣旨に沿った情報開示を行っていきます。
気候変動に関する取り組み
ENEOSグループは、気候変動問題を全社的リスクマネジメントにおける経営戦略上の重要なリスク・事業機会の1つと認識しており、気候変動関連のリスク・機会を戦略策定プロセスに取り込み、中長期の事業戦略に反映しています。
また、当社は2019年5月27日に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に賛同する署名を行いました。
TCFDは、投資家が適切な投資判断を下すことができるよう、各企業に対して、気候変動が各企業にもたらすリスクと機会について適切な情報開示を求めています。
当社グループは、エネルギー・素材の安定供給を果たす企業の責務として、今後も持続可能な社会の実現に向けて積極的にESGに関する取り組みを推進するとともに、統合レポートなどを通じて可能な限り同提言の趣旨に沿った情報開示を行っていきます。
ガバナンス
気候変動に伴う事業影響を管掌する役員が出席する経営会議、取締役会において、四半期に1回以上、気候変動問題に関するリスク・機会について議論しています。
具体的には、気候変動に伴うリスク・機会を踏まえた中長期の事業戦略や、中期環境経営計画の進捗を含むCO2排出量の削減状況などを検討・確認しています。
戦略
「2040年ENEOSグループ長期ビジョン」の策定にあたり、気候変動の影響が想定される主な事業分野において、需要見通しなどを踏まえたシナリオ分析を実施しました。
- シナリオ分析
- エネルギーセグメントにおいては、従来からIEA(国際エネルギー機関)のWorld Energy Outlook(WEO)を用いて、グローバルかつ長期的な人口推移、経済成長、エネルギー需要の見通しを定期的に分析しています。
- 長期ビジョンの策定にあたっても、WEO2018の新政策シナリオ(NPS)をベースに、パリ協定における目標に基づき低炭素化が極端に進む持続可能な開発シナリオ(SDS)も分析対象としたシナリオ分析を実施しました。
- 事業上の取り組み
- シナリオ分析の結果、長期的なグローバルトレンドとして、低炭素・循環型社会の進展、デジタル革命の進展、ライフスタイルの変化などが進むことが想定されます。これらを踏まえて、「低炭素・循環型社会への貢献」を含む長期ビジョンを策定しました。
- エネルギー、資源、素材の分野で多様な事業を展開しており、低炭素社会への移行に関連するリスクとともに、天然ガス、電気、再生可能エネルギー、機能材、電材加工品等、低炭素社会への移行に貢献するさまざまな事業機会を有しています。
- 中期経営計画で示した次世代の柱となる事業(海外事業、電力・ガス事業、技術立脚型事業)は、低炭素社会への移行にも貢献するものであることから、それら事業の育成・強化を図っています。
詳細は、統合レポートP13-16「2040年長期ビジョン」をご参照ください。
リスク管理
当社は、2017年度から経営企画部においてCOSO ERMフレームワークに基づくERM体制の整備・運用を進めてきました。
詳細は、全社的リスクマネジメント(ERM)をご参照ください。
指標と目標
ENEOSグループは、「低炭素社会形成への貢献」と「循環型社会形成への貢献」を目指して、中期環境経営計画(2017~2019年度)と2030年度環境目標を策定し、環境活動を推進しています。
詳細は、計画と目標をご参照ください。