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水おとこのいるところ

水おとこのいるところ

イーヴォ・ロザーティ:作
ガブリエル・パチェコ:絵
田中桂子:訳
出版社:岩崎書店 ISBN:978-4-265-81053-6
2009年9月発行 1500円+税

作者のイーヴォ・ロザーティさんは、1971年、イタリア生まれ。広告会社向けのコピーライターののち、作家になりました。ホテルのポーターや飲食店経営などをしながら、執筆活動にいそしんでいます。本作で、イタリア・アンデルセン賞最終選考にノミネートされました。

絵のガブリエル・パチェコさんは、1973年、メキシコ生まれ。メキシコ国立芸術院(INBA)で舞台芸術、国立造形芸術院(ENAP)でデッサン、人物描写などを習得し、スぺイン・ジェイダ大学(UdL)で児童書について学びました。メキシコ国内で様々な賞を受賞しているほか、ボローニャ国際絵本原画展をはじめ、多くの国際コンクールにもノミネートされています。

訳者の田中桂子さんは、1979年、兵庫県生まれ。大阪外国語大学大学院前期課程修了。大阪ドーナッツクラブの会員としてイタリア文学・芸術の紹介に携わっています。2009年、第15回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)で大賞を受賞しています。

ココがいいね!

雨の多い季節ですね。歩いていると水たまりを見つける機会も多いのではないでしょうか。今回は、そんな水たまりの中にひっそりと住んでいるかもしれない、心の優しい“水おとこ”のお話をご紹介します。

だれかが蛇口を開けたままにしたようです。家のあるじは帰ってきません。蛇口から出てくる水が、たまって、はねて、すべって、落ちて、とうとう“水おとこ”が生まれました。真っ青で背の高い“水おとこ”が歩くと、周りのすべてのものが濡れてしまいます。海か湖、せめて水路に帰ろうと思った“水おとこ”は家の外に出ていきますが、それを見た人たちは、警察をよんだり、追いかけて捕まえようとしたり、大騒ぎです。果たして“水おとこ”は本当に悪者なのでしょうか。

人と違っているというだけで、嫌がられたり疎まれたりしてしまう、そんな“水おとこ”の様子を見ていると悲しい気持ちになりますが、いつしか“水おとこ”の優しさに気付きはじめた人たちの気持ちや行動の変化に触れるうちに、ほっと安心出来ることでしょう。

水を描いた鮮やかな青色がとても印象的です。幻想的で静かなタッチの絵は大人っぽく感じられるかもしれませんが、“水おとこ”っていったいどんな人かな?と考えながら、お子様と一緒に読んでみてはいかがでしょうか。きっと水の大切さについて親子で話し合ってみる良い機会になりますよ。池や噴水を見かけたら、こっそり“水おとこ”を探してみるのも「いいね!」