第45回(2014年)
JX-ENEOS童話賞
【一般の部 最優秀賞】

小さな駅の待合室作者:石川栄一

小さな駅の待合室

「貴方と一緒に、ですか?」
「ええ、私達は夫婦なんです。私は貴女の夫です。」
 明男は再び満面の笑顔で春子を見つめる。
「そうだったんですか? 私にこんな素敵な夫がいたなんて知りませんでした。」
「忘れてしまっていたのなら、思いだせばいいだけのことです。」
「でも、自分の夫のことまで忘れてしまうなんて、私はどこか病気なのかしら?」
「大丈夫、大丈夫。何の心配もありません。私は貴女の夫であると同時に医者でもあるのですから。」
「あら、そうなんですか?」
「私が必ず貴女の病気を治して差しあげます。」
 明男の笑顔に安心したのか、春子は明男の肩にそっと寄りそう。そのふたりに、
「夜道は危険ですから気をつけて。」
 と、駅員が声をかける。
「有難う。狐か狸に化かされたりしたら大変ですからね。」
 と、明男も駅員に笑顔でこたえる。
 ふたりは静かに田舎の夜道を去っていく。

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