第51回(2020年)
ENEOS童話賞
【小学生以下の部 最優秀賞】

ひとり図書館作者:古屋璃佳 / 絵:たけだあおい

「これは、すてきな本。ありがとうございます。」

そう言ってレオンは、おじぎをした。私は、かし出し表にこう書いた。

『日付 四月二十一日  かりた人 レオン』

「レオンさん。かし出しは、今日から一週間です。へんきゃくは四月二十八日におねがいします。」

はじめてかし出し表に自分いがいの名前を書いた私は、うれしくてジャンプした。レオンも本を大事そうにかかえてジャンプした。

「それでは、ししょさん。四月二十八日に。」

そう言ってレオンは、本だなの後ろでおじぎをするとスッときえた。

四月二十八日。夕方、私が小学校からいそいで帰って図書館のドアを開けると、ダンボールで作ったかし出しカウンターの前に、レオンが本ときれいな色の紙ぶくろをもって立っていた。私を見つけるとすぐにかけより、

「ししょさん。本、とても楽しかったです。とくに、ま夏のせきらん雲がすてきでした。これはほんのきもちです。どうぞ。」

そう言って紙ぶくろからとり出したのは、手作りのソーダゼリーだった。まっ青な夏空のようなゼリーは、おさらの上にツンと立っていて、中には生クリームで作ったせきらん雲がうかんでいた。

「すごくきれい……。これ、あなたが作ったの?」

「ぜひ、食べてみてください。」

スプーンでゼリーをすくうと、それはピンとしているのに、なめらかで一口食べただけで、元気がわいてくるようだった。私が食べおわるとレオンは、

「今日は、花の本をかしてください。」

そう言って目をキラキラさせた。私は、花の絵本を手わたした。

「わあ。これは、すばらしい。」

そう言ってレオンはニッコリわらった。

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