第51回(2020年)
ENEOS童話賞
【小学生以下の部 最優秀賞】

ひとり図書館作者:古屋璃佳 / 絵:たけだあおい

『ひとり図書館』

小さなおり紙に、小さな文字で書いてドアにはった。

お母さんにつかっていない部屋をかりて、私は小さな図書館を作った。ひとり図書館の館長はもちろん私。ならんでいる本は全部、私のお気に入りばかり。ししょさんも私。だから、かし出すのも私だし、かりるのも全部私。本の背表紙の内がわに、おり紙でふくろをはりつけて、中にかし出し表を入れた。

「はい。かし出しは今日から一週間です。へんきゃくは、四月二十日におねがいします。」

「はい。わかりました。」

かし出し表の名前も、全部私の名前。へんきゃくスタンプも、私がおすの。だってここは「ひとり図書館」ですから。

ある日のこと、いつも通り図書館の本の整理をしていると、小さな声が聞こえてきた。

「すみません。本をかりることができますか。」

私は、びっくりして顔を上げた。でも、だれもいない。気のせいか……。整理にもどると、また小さな声が聞こえた。

「ぼくも、本をかりることできますか。」

声のする本だなの後ろをのぞいてみると、一ぴきの白いねこがかくれるように立っていた。

「あなた、話せるの?」

私が、おどろいていると、ねこはゆっくり私の前まで二本足であるいてきた。

「おどろかせてすみません。ここは、図書館ですよね。ぼくの名前はレオン。ぼくにも本をかしていただけませんか。」

「もちろん、いいわ。どんな本がいいかしら。」

レオンは、青い目を大きく開けてこたえた。

「空の本!」

私は空の絵本をさし出した。

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