ここでは可能性に満ちた注目事業を紹介します。成長が著しい新事業や、環境にやさしいサステナブルな事業など、どれも今後注目していただきたい事業です。

脱炭素

~日本のエネルギートランジションをリードする存在へ~

クリーンな電源である再生可能エネルギーの普及を推進しているほか、海外の再生可能エネルギーなどから製造した安価なCO₂フリー水素を調達し、お客様に安定的に供給する水素サプライチェーン構築に向けた検討、大気に放出されるCO₂を回収し、利用・貯蔵する技術の確立に取り組んでいます。

※1 Carbon dioxide Capture and Storage : CO₂の回収・貯留
※2 Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage :CO₂の回収・有効利用・貯留

このほかバイオ燃料・合成燃料、SAF(持続可能な航空燃料)等の開発も手掛け、次世代エネルギー分野において様々な強みを有しています

再生可能エネルギー ~脱炭素・循環型社会の実現に向けて~

脱炭素・循環型社会への貢献に向けて、再生可能エネルギー事業を推進しており、2030年ごろまでに発電容量として数百万kW(原発1基は約100万kW)への拡大を目指しています。

太陽光や風力発電は気象状況により発電量が変動しますが、大型の蓄電池や電気自動車などを組み合わせたVPPを活用することで、電力の需給バランスに合わせた最適な制御を実現させ、将来の次世代エネルギー供給プラットフォームの構築につなげていきます。

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  • 太陽光
  • 風力
  • バイオマス他

遊休地の活用を中心に事業化を進め、これまでに国内21カ所(2021年6月現在)のメガソーラー発電所を稼働しました。また、国内だけではなく 海外でのメガソーラー発電所の開発や出資参画なども、積極的に進めています。

  • 遊休地を活用したメガソーラー発電所

    遊休地を活用したメガソーラー発電所

    ▲かすみがうらメガソーラー発電所(茨城県かすみがうら市)

  • 海外(豪州)におけるメガソーラー開発

    海外(豪州)におけるメガソーラー開発

    ▲豪クイーンズランド州で建設中のメガソーラー発電所(完成予想図)

遊休地を活用した陸上風力のほか、台湾・雲林沖での洋上風力プロジェクト参画(2019年)以降、国内での複数の陸上風力プロジェクトや、「秋田県・八峰町及び能代市沖」や「長崎県・五島市沖」での洋上風力プロジェクトへの参画など、取り組みを加速しています。

  • 国内・海外における洋上風力の開発

    国内・海外における洋上風力の開発

    ▲洋上風力発電(図はイメージ)

  • 遊休地を活用した陸上風力発電所

    遊休地を活用した陸上風力発電所

    ▲(左)扇島風力発電所(神奈川県川崎市)、
    (右)土浜風力発電所(秋田県秋田市)

2020年5月に北海道室蘭市で発電容量として国内最大規模となるバイオマス発電所(約7.5万kW)の運転を開始しました。また、福島県いわき市に、約0.5万kWの水力発電(1955年運転開始)を有しています。

  • バイオマス発電

    バイオマス発電

    ▲室蘭バイオマス発電所(北海道室蘭市:ENEOS室蘭バイオマスパワー)

  • 水力発電

    水力発電

    ▲柿の沢水力発電所(福島県いわき市)

国内有数の再生可能エネルギー事業者であるジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社の全株式を取得。同社が保有する事業開発能力とENEOSグループが培ってきたエネルギー事業者としての知見を結集し、日本を代表する再生可能エネルギー事業者を目指します。

水素エネルギー ~安定的な水素サプライチェーンの構築を目指して~

ENEOSグループでは、気候変動対策の切り札として期待されているCO₂フリー水素の安定供給を早期に実現すべく、水素サプライチェーンの構築に力を入れています。

水素サプライチェーンとは、水素を「つくる」、「はこぶ」、「ためる」、「つかう」といった一連のプロセスのことをいいます。この水素サプライチェーンを構築する上で、ENEOSグループが保有する設備を活用できることに加え、石油精製販売を通して培った上流から下流までをワンストップで効率的に管理・運営するノウハウを活かすことができます。

当社が取り組む水素サプライチェーンのイメージ

当社が取り組む水素サプライチェーンのイメージ

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CCS/CCUS ~効率的な二酸化炭素回収・貯留技術の実現へ~

石油・天然ガス開発において、脱炭素社会の実現に貢献する技術として世界的に注目されている「CCS/CCUS」の導入実施により、要素技術や知見の蓄積を進めています。

CO₂の分離・回収、地下圧入、地下モニタリングなどの CCS/CCUS に関する要素技術を活用した、環境負荷の低い石油・天然ガス開発事業を環境対応型事業の一つとして育成し、将来的にJX石油開発の中核事業とすることを目指しています。

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  • 米国事業
  • 共同研究

火力発電所から排出される燃焼排ガスからCO₂を回収し、老朽化により生産性の低下した油田に圧入することで、生産量の増加と温室効果ガスの削減を両立する「Petra Nova CCUSプロジェクト」(米国)に継続して取り組んでいます。

  • Petra Nova CCUSプロジェクトでのCO₂-EOR(Enhanced Oil Recovery:原油増進回収)の仕組み

    ▲Petra Nova CCUSプロジェクトでのCO₂-EOR(Enhanced Oil Recovery:原油増進回収)のしくみ

JX石油開発の基盤事業エリアである東南アジア地域において、従来型の資源開発に CCS/CCUS 技術を適用することで、環境負荷の低い開発事業を実現することを目的に現地の国営石油会社と共同研究を進めています。

  • インドネシアでの共同研究

    インドネシアでの共同研究

    ▲現地石油会社との共同研究に関する調印式の様子

  • マレーシアでの共同研究

    マレーシアでの共同研究

    ▲ガス田でのCO₂分離・回収の仕組み

素材

~社会の発展への貢献と事業の収益力強化に向けて~

通信・デジタル、モビリティ、ヘルスケア、次世代電池など、これから大きな成長が期待される分野において、当社グループは独自に有するコア技術に立脚した高機能な新しい素材を開発し、世の中に送り出しています。また、廃電子基板からの有価金属回収による資源循環など、高度なリサイクル技術を保有しています。

機能材 ~石油化学で培った技術を応用した高機能な素材事業~

「自動車」・「生活・産業インフラ」・「ニュートリション(栄養)」の3つを重点領域として取り組んでいます。この事業を支えているのが石油化学事業を通して培ったコア技術です。具体的には、「熱可塑/熱硬化 樹脂設計技術」、「不織布製造・加工技術」、「微細構造転写技術」、「ナノ分散技術」、「炭素繊維関連技術」、「発酵・培養技術」、「光学設計技術」などがあります。

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  • 透明ポリイミド用モノマー
  • 飼料用アスタキサンチン
  • エラストマー事業

電子材料や航空機の構造部材などに使用されているポリイミドは、折り曲げ可能なディスプレイ用フィルムとしても注目されています。当社グループは「樹脂設計技術」を応用し、性能を維持したまま、通常は茶褐色であるポリイミドの無色透明化を実現するモノマー(原料)を開発しました。

  • 樹脂設計技術を活用して開発した製品

    樹脂設計技術を活用して開発した製品

    折り曲げ可能なディスプレイ用フィルムとして注目

バイオテクノロジー研究を通して蓄積してきた「発酵・培養技術」を活用し、養殖魚の色調改善に用いられる飼料用アスタキサンチンを開発しました。このアスタキサンチンは天然由来のサケマスの色揚げ材として世界から多くの需要を獲得し高いシェアを誇っています。

  • 発酵・培養技術をを活用して開発した製品

    発酵・培養技術をを活用して開発した製品

    天然由来の色揚げ材として多くの需要を獲得

タイヤや自動車部品など各種ゴム部品に使用される合成ゴムに加え、シール材や電池バインダーなどに使用される熱可塑性エラストマーやエマルジョンを供給しています。中でもSSBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)は主に高性能・エコタイヤ向けの主力商品で、これから環境性能がより一層求められていく中で、高い成長性を期待しています。

  • エラストマー事業の製品例

    エラストマー事業の製品例

    左:SSBRを原料とした高性能タイヤの例  右:出荷する合成ゴム製品

半導体材料・情報通信材料 ~データ社会の進展を支える世界No.1 シェアの製品群~

JX金属の先端素材は、スマートフォンなどの最先端電子機器や次世代の通信インフラなどの性能向上に欠かすことのできない高機能材料として、その需要がますます拡大しています。

今後の旺盛な需要に応えるべく、増強計画の前倒しや上積みなどの能力増強を機動的に実施するとともに、データ社会の進展や脱炭素化などの社会トレンドを踏まえ、次の事業の柱として期待される新規材料の育成・事業化を進めています 。

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  • 機能材料
    (情報通信材料)
  • 薄膜材料
    (半導体材料)
  • タンタル・ニオブ
    (半導体材料)
  • 新規材料

フレキシブル回路基板などに使われる、折り曲げても破断しにくい圧延銅箔や、コネクターなどに使われる、強度や導電性に優れた各種銅合金条など、IT機器の性能向上や小型化、多機能化、電源大容量化などに寄与する製品を提供しています。

  • 圧延銅箔

    圧延銅箔

    ▲圧延銅箔は世界で最も薄い5ミクロン厚の量産技術を確立

  • 高機能銅合金条

    高機能銅合金条

    ▲銅合金として最高レベルの強度を有するチタン銅条

機能材料事業 https://www.jx-nmm.com/company/industry/functional/

配線幅がナノメートルレベルと微細化が進む半導体デバイス向けをはじめ、最先端の電子部品に使われる金属材料には高純度化が求められています。各種精製、溶解技術などを駆使し、半導体用スパッタリングターゲットや化合物半導体基板を提供しています。

  • 半導体用スパッタリングターゲット

    半導体用スパッタリングターゲット

    ▲純度6N(99.9999%以上)の銅ターゲット

  • 化合物半導体

    化合物半導体

    ▲大口径かつ結晶欠陥の少ない化合物半導体基板

薄膜材料事業 https://www.jx-nmm.com/company/industry/thin_film/

2018年にコンデンサー・半導体材料などに用いられるタンタル・ニオブ粉末の世界的供給者であるTANIOBIS(本社:ドイツ)の株式を取得しました。JX金属とTANIOBISが有する金属粉などに関する技術を融合しシナジーを追求しています。

  • 高純度タンタル粉

    高純度タンタル粉

    ▲大容量コンデンサーや半導体の銅配線バリア層として使用される高純度タンタル粉

  • 3Dプリンター用タンタル・ニオブ系合金粉

    3Dプリンター用タンタル・ニオブ系合金粉

    ▲金属3Dプリンター用途に最適なタンタル・ニオブを中心とする球状の合金粉AMtrinsic®(アムトリンジック)

タンタル・ニオブ事業 https://www.jx-nmm.com/company/industry/tanb/

半導体の配線微細化・多層化に対応した最先端プロセスに用いられる材料、複雑形状の造形が可能となる3Dプリンター用金属粉、全固体電池向け材料など次世代の先端素材開発に取り組むとともに社外のさまざまなパートナーとの共創を進めています。

  • 高純度塩化金属

    高純度塩化金属

    ▲高純度化技術・塩化技術を活用したCVD用塩化物

  • 3Dプリンター用銅粉

    3Dプリンター用銅粉

    ▲放熱用途が見込まれる3Dプリンター用純銅粉

※Chemical Vapor Deposition:原材料(プリカーサー)を加熱してガス化させてチャンバーに導入し、気相中の化学変化を利用し、希望する物質を成膜する方法

金属リサイクル ~資源循環による金属資源の確保を目指して~

JX金属は、埋蔵量や可採年数に限りがある非鉄金属を将来的に確保するため、国内外で金属資源のリサイクルを推進しています。

銅や金、銀、白金、パラジウムなどの有価金属が含まれる、使用済み電子機器などの廃基板の増集荷・増処理による非鉄金属の再資源化推進や、EV用の廃リチウムイオン電池(LiB)からのレアメタル回収の事業化などに取り組んでいます。

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  • 廃基板リサイクル
  • LiBリサイクル

佐賀関製錬所では、原料の銅精鉱に含まれる硫黄分の余剰反応熱を利用し、エネルギー効率やCO₂排出量の面から環境負荷の少ないリサイクルが可能です。 2040年に銅製錬のリサイクル原料投入比率を現行の約12%から50%まで高めることを目指しています。

  • 廃基板のリサイクル工程

    ▲廃基板のリサイクル工程

今後大量に発生することが予想されているEV用の廃LiBからレアメタルを回収し、再びEV用電池の原料として使用する「クローズドループ・リサイクル」の実現に向け国内外で事業化に向けた実証試験を進めています。

  • LiBリサイクル

生活プラットフォーム

~地域・ご家庭・個人に寄り添った新たな価値を提供~

VPPを活用したエネルギー供給に加えて、EV関連サービスを含むモビリティ分野やライフサポートの分野において、サービスステーションを起点として、既存のサービスに加えてお客様のニーズに合わせた新たなサービスをトータルで提供するENEOSプラットフォームの構築を目指した取組みも推進しています。

※: バーチャルパワープラントの略。分散して設置した発電・蓄電設備をデジタル技術の活用により、一つの発電所のように制御した仮想発電所