暮らしに欠かすことのできない、ガソリンや灯油などの石油製品や、電線や家電製品などに使われる銅製品はどのような過程を経てつくられているのか、その流れをご紹介します。

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  • 石油製品が届くまで
  • 銅製品が届くまで

石油製品は、自動車のガソリンや軽油、暖房の灯油などの燃料や、プラスチックや合成繊維の原料など、現代社会の暮らしに欠かせないものとなっています。

その用途は、約半分が自動車などの動力源として、4分の1がプラスチックなどの石油化学製品の原料として、残りの4分の1は家庭や工場の熱源などとして使われています。

それではこれらの石油製品はどのようにつくられているのでしょうか。

石油製品の用途別国内需要(2018年)
※出典:石油連盟資料を加工

スタート

油田・ガス田の探鉱・開発

探鉱と呼ばれる、地下の石油・天然ガスを探す活動を行います。実際に掘削する前に調査・探索を行い得られたデータを詳細に解析した後、有望と目される地点で試掘井の掘削を行います。

試掘の結果、油層・ガス層が発見され、評価により商業生産可能と判断した場合、生産・貯蔵・出荷施設などの設計・建設、パイプライン敷設、生産井(原油や天然ガスを採取するための井戸)の掘削などを行います。

▲石油を生産するための設備を建設します。
▲生産井を掘削します。

石油はどこにある?

石油や天然ガスは数億年前に堆積した微生物などの死骸が地中の熱や圧力によって変化してできたものです。地殻変動によって地表まで盛り上がった地層に集積するため、衛星画像や重磁力探査などさまざまな調査を行って集積場所を特定します。

石油・天然ガスの生産・出荷

生産井から採掘した原油には水分や泥などが含まれるため、これらを除去してタンクに貯蔵し、タンカーやパイプラインで消費地へ出荷します。天然ガスは処理設備で不純物を除去したのちに、パイプラインまたは液化したLNGとしてタンカーにより、消費地へ出荷します。

日本に輸入される原油の多くは、中東地域からタンカーで約1か月かけて運ばれてきます。

▲ランドン油田(ベトナム 15-2鉱区)
▲原油タンカー

製油所へ輸送

沸点の差を利用して分離精製

原油を石油製品にする工程を精製といい、その工場を「製油所」と呼びます。

製油所では、運ばれた原油を加熱して液体から気体にし、成分によって液体に戻る温度(沸点)の差を利用して分離回収します。ガソリン、灯油、軽油はサービスステーション(ガソリンスタンド)に運ばれ、LPガスは家庭用プロパンガスの原料やタクシーなどの業務用車両向けの燃料として出荷されます。

また、石油化学製品の原料として用いられるナフサは、次の工程に送られます。

原油から余すことなく回収

常圧蒸留装置で残された残油を、二次装置とよばれるさまざまな装置で処理することで、付加価値の高いガソリンなどを無駄なく回収しています。

さまざまな石油化学製品へ

ナフサは熱で分解され、エチレン、プロピレン、BTX(ベンゼン・トルエン・キシレン)などの基礎化学品となります。これらはさまざまな石油化学製品をつくる原料になります。

基礎化学品は製油所内の処理装置や化学品メーカーなどに送られ、プラスチックや合成繊維などに加工されます。

ゴール

製油所でつくられたガソリン、灯油、軽油は、全国各地に供給され、販売されます。ENEOSは国内1位のサービスステーション数を誇ります。

また、石油化学製品は、プラスチック製品、合成繊維、合成ゴム、塗料などの最終製品に加工されます。

銅は、電気と熱をよく伝え、加工しやすく、腐食に強いという特徴から、送電線、通信ケーブル、バッテリー、モーター、電子機器など、さまざま用途に使われています。

例えば、いまや生活に欠かすことができないスマートフォン。たくさんの部品からできており、銅は重要な機能を果たしています。直接目にすることはあまりありませんが、銅がなければ現代社会が成り立たないといっても過言ではありません。

それではこれらの銅製品はどのようにつくられているのでしょうか。

スタート

銅鉱山での採掘

銅のもとである銅鉱石は、海外の鉱山で露天掘りと呼ばれる方法で地表からすり鉢状に採掘します。採掘された銅鉱石には1%以下の銅しか含まれていません。銅鉱石を細かく砕いて金属分を集め、純度を30%程度に高めてから出荷します(残りは主に鉄と硫黄)。この純度を高めた原料を銅精鉱といいます。

こうしてつくられた銅精鉱は船で約1か月かけて国内の製錬所に運ばれます。

▲露天掘り(チリ カセロネス銅鉱山)
▲銅鉱石(純度1%以下)
▲銅精鉱(純度30%程度)

銅の鉱山はどこにある?

銅資源は南米に集中しており、世界の銅精鉱の約30%はチリ、約10%はペルーが生産しています。

製錬所へ輸送

銅のかたまり(地金)をつくる

銅精鉱を銅のかたまりにする工程を製錬と言い、その工場を「製錬所」と呼びます。

製錬所に運ばれた銅精鉱は、リサイクル原料とともに炉で溶かして不純物を取り除き、約99%まで純度を高めた粗銅(そどう)となり、さらに純度を高める工程(精製工程)を経て純度99.99%の銅となります。この銅のかたまりを銅地金(じがね)と呼びます。

こうしてつくられた銅地金は、板・管・棒・線などに加工され、電線や配電盤、熱交換器などのさまざまな用途で使用されます。

▲粗銅を作る様子(佐賀関製錬所)
▲純度99.99%の銅地金
▲副産物の金・銀・白金族

銅の副産物って?

銅製錬では原料に含まれる金・銀・白金族などの貴金属も副産物として生産しています。また銅精鉱に含まれる硫黄分は硫酸として回収し、鉄分は主にセメント原料として販売しています。

次の工場へ

先端素材に加工

さまざまな用途で使われる銅ですが、データ社会の進展に伴い、モバイル機器、通信インフラなどで使用される高機能な先端素材としての需要が急速に拡大しています。

例えば、銅のかたまりを髪の毛の細さの10分の1まで薄く伸ばした圧延銅箔は、複雑に折り曲げてスマートフォンの中の部品同士をつなぐ回路基板として使われています。また、銅の純度を99.9999%以上に高めた半導体用スパッタリングターゲットは、配線幅がナノメートル(100万分の1ミリ)レベルに微細化が進む最先端半導体の配線材料として使われています。

▲圧延銅箔は世界で最も薄い
5ミクロン厚の量産技術を確立
▲半導体の配線に使われる
純度99.9999%以上の銅ターゲット

スパッタリングターゲットって?

半導体デバイスなどをつくるため、シリコンウェハなどの基板上に微細な配線を行うための材料です。スパッタリングと呼ばれる、アルゴンイオンを用いてナノメートルレベルの薄膜をつくる工程で、イオンがぶつかる的(マト)=ターゲットとなることからつけられた名称です。

<動画で詳しくご覧いただけます>https://www.youtube.com/watch?v=3DuGuJacvmc

ゴール

こうしてつくられた先端素材はデータ社会に欠かせないさまざまな電子機器などに使われています。

  • 主な製品

    主な製品
  • 一次用途

    一次用途
  • 最終用途

    最終用途

使い終わったら?

使用済み電子機器をリサイクル

役割を終えた電子機器や家電などにはたくさんの非鉄金属が含まれています。限られた金属資源を有効に活用するために貴重な資源として再利用しています。

集めた家電などから金属を多く含む部分を取りだし、焼却して不純物を取り除いた後、鉱山から運ばれてきた銅精鉱と一緒に製錬され、再び地金に生まれ変わります。