私たちの身の回りには、ガソリン、灯油、プラスチック、服など、たくさんのエネルギーや素材があります。これらはすべて「製油所」と呼ばれる場所でつくられており、ENEOSの事業の中核を担っています。そんな製油所に関してもっと皆さんに知っていただくために、全3回にわたってENEOS社員による解説をお届けします。第1回目となる本記事では、製油所の基本的な知識について技術計画部の柴田さんと山口さんにお話を伺いました。
この記事の目次
製油所ってどんなところ?

今回お話をお聞きした柴田さん(左)と山口さん(右)
―そもそも、製油所とは何をする場所ですか?
簡単に言うと「原油を、私たちの生活を支える様々な石油製品に作り変える工場」です。原油とは、地下にある加工されていない石油のことで、黒っぽくどろどろしていて、そのままでは使うことができません。一方で石油とは、原油や石油製品などの総称を指し、石油製品の代表的なものとしてはガソリンや軽油、灯油などがあります。
―身の回りの石油製品はすべて原油からつくられているんですね!
はい。中東などで採れた原油が製油所に運び込まれ、それを熱して成分ごとに分けることで様々な製品へと生まれ変わります。これを貯蔵し、出荷するところまでが製油所の役目です。
―日本に製油所はどのくらいありますか?
2025年3月現在、日本には合計19か所の製油所があります。そのうち、ENEOSグループの製油所は、仙台製油所、鹿島製油所、千葉製油所、川崎製油所、根岸製油所、堺製油所、水島製油所、麻里布製油所、大分製油所の計9か所です。

―製油所が海岸沿いに多く立地しているのは、何か理由がありますか?
良い視点ですね。理由は大きく3つあります。
1つ目は、原油の運び込みや石油製品の輸送がしやすいという点です。海辺にあることで、海外から大型タンカーで運ばれてきた原油を直接降ろすことができます。また、できあがった石油製品を船で大量輸送する際も、別の場所へわざわざ移動させる必要がありません。
2つ目は、製油所の建設・運営には非常に広大な敷地が必要だという点が挙げられます。原油や石油製品を入れる巨大なタンクや大規模な精製装置、管理施設などを要する製油所は、町一つ分に感じられるほどのスケールがあります。そうなると必然的に大きな土地を確保しやすい海岸沿いが選ばれやすい訳です。
最後に3つ目としては、豊富な工業用水を確保しやすいという理由です。石油製品を作る過程においては、冷却や蒸気の発生に大量の水を使うことがあります。そのため河川や海からの取水が容易な場所、そして安定した電力供給が見込める場所が望ましいです。なお、使用した工業用水は、製油所内の排水処理設備で浄化した後、環境基準を満たした状態で海へ放流されます。
製油所で石油製品ができるまで
―製油所で石油製品ができるまでのプロセスを教えてください。
製油所のプロセスを簡単にまとめると、
① 原油を熱して成分ごとに分ける
② 社会で求められている製品へと品質を高める
という流れです。
まずは、「蒸留(分留)」を行います。これは、原油を加熱して、沸点の違いによって生まれるそれぞれの成分へと分ける工程です。最初に沸騰して取れるのは、石油ガス(LPG)です。その次に、ガソリンのもとになるナフサ、続いて灯油、軽油が取れます。最後に残って出てくるのが重油です。このように、沸点の低いものから高いものへ順に分留されます。
しかし、これらの成分はそのまま車に給油したり、家庭で使える品質ではありません。そのため、蒸留で取れた油の価値や質を上げる処理を行います。例えば、原油にはもともと硫黄という成分が混ざっています。もしも分留した灯油や軽油をそのまま燃やすと、硫黄が排出されて人体や環境に害をもたらす恐れがあります。そこで、水素と反応させる「脱硫装置」に通すことで、灯油や軽油から硫黄分を取り除きます。他にも、ガソリンを車のエンジンで使用する際は、異常燃焼(ノッキング)の発生を防ぐ必要があります。そのため、分留したナフサの燃焼特性を改善する「改質装置」で処理することで、異常燃焼の起こりにくい高品質なガソリン基材を製造しています。

あれもこれも製油所でつくられている!
―私たちの身近にはどんな石油製品がありますか?
製油所から生まれる石油製品には、本当にたくさんの種類があります。その中でも代表的な製品をいくつかご紹介します。
・ガソリン:自動車やオートバイのエンジンを動かす燃料。街のサービスステーションで給油するレギュラーガソリンやハイオクガソリンがこれにあたり、石油製品の中でも特に身近な存在です。

・軽油:トラックやバス、工事現場の重機など、ディーゼルエンジン車専用の燃料。ガソリンと並んで輸送を支える重要な石油製品です。

・ジェット燃料:飛行機を飛ばすための航空機用燃料。灯油留分から作られる石油製品の一部であるため、成分的には灯油に近い高品質な油です。

・アスファルト:道路の舗装に使われるアスファルトも、実は製油所から生まれています。重油をさらに蒸留した残油から作られる黒い物質で、屋根の防水材などにも使われます。
・ナフサ:ナフサは主にガソリンの原料として使用されますが、プラスチックや化学製品の原料としても重要な役割を持っています。例えば、ペットボトルやビニール袋、おもちゃ、スマートフォンのボディといったプラスチック製品。これらは、ナフサを分解して得られるエチレンなどの化学物質をさらに加工して作られています。また、フリースジャケットやスポーツウェアなどの衣類は、化学繊維であるポリエステルやナイロンで作られています。



―燃料以外にも、本当にいろんな製品が製油所から生まれているんですね!
そうですね。石油製品はみなさんの暮らしの中でも無くてはならないものばかり。この当たり前を支え続けていくために、製油所は1日たりとも止まることはできません。
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技術計画部技術計画グループ 柴田 康弘
2015年 東燃ゼネラル石油株式会社に入社し、和歌山製油所 製油技術グループに配属。和歌山製油所にて約10年間、プロセスエンジニアとして製油装置の運転改善・設計検討業務に従事。2025年10月より、技術計画部 技術企画グループへ異動。現在は設備予算チームのメンバーとして、各製油所の設備予算業務の取りまとめを担当している。

技術計画部次世代技術グループ 山口 廣海
2016年 JX日鉱日石エネルギー株式会社に入社し、大分製油所 製油1グループに配属。2022年、水島製油所 製油技術グループへ異動。製油所で9年間プロセスエンジニアを経験した後、2025年4月に技術計画部 次世代技術グループに異動。現在はAIを活用した製油所の自動運転業務等の取りまとめを担当している。
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まとめ
製油所では、皆さんの身近なモノの原料から航空機や機械用の燃料に至るまで、生活を支えるあらゆる石油製品が作られています。環境汚染や健康被害を起こさないための取り組みを徹底することで、今後も安心・安全の運営に努めてまいります。


