
2025年6月、ENEOS株式会社とUDトラックス株式会社は、岡山県水島地区にて「エコ&セーフティドライブ講習会」を共同で開催しました。この講習会では、タンクローリー乗務員の皆さんが、安全運転やエコドライブのポイントを座学と実習を通じて学び、環境や安全に対する意識を高めることに取り組みました。今回は、講義で紹介された皆さんの日頃の運転にも役立つ安全運転とエコドライブのポイントをご紹介いたします。
この記事の目次
エコ&セーフティドライブ講習会
2025年6月、ENEOS株式会社とUDトラックス株式会社は、岡山県水島地区にて「エコ&セーフティドライブ講習会」を共同で開催しました。ENEOS株式会社は「特定荷主」※として、年平均1%以上の燃料油使用効率の改善を目指しています。この講習会はその取り組みの一環であり、乗用車約19,000台分に相当する年間560KLの燃料油削減を目指しています。2025年度は全国各地の会場で講習会を実施し、タンクローリー乗務員のエコドライブと安全確保を実現するための重要なステップとなっています。
講習会では、環境に配慮して燃費を改善することが、結果として事故防止にもつながる理由の説明と、その具体的な方法を学びました。その後、参加者は講師の指導のもと、実際の走行コースで学んだ技術を実践し、効果を体験しました。予想以上の効果に、参加した方々はみな驚き、今後も是非活かしていきたいと話していました。
これから、講習会で学んだ「安全運転のポイント」「大型トラックの車輪脱落防止」「エコドライブのポイント」について紹介していきます!
※特定荷主:物流事業者にトラック輸送業務を委託する荷主のうち、貨物の合計重量が一定以上の事業者のこと。主に年間の貨物輸送量が3,000万トンキロ以上となる荷主が該当する。
安全運転のポイント
ENEOSでは、2020年12月に全契約輸送会社(31社・再委託240社)に「安全運転の心得7カ条」を配布しました。タンクローリー乗務員は出庫点呼後、安全運転の心得7カ条を指差呼称してから運転を開始しています。
安全運転の心得7カ条
①法定速度・制限速度の遵守!
車が衝突したときの衝撃力は速度の2乗に比例します。運転する時は速度に十分気を付けます。
②走行中の車間距離4秒確保!
運転手が危険を察知してから実際に車が停止するまでに一定の距離を要します。そのため、走行中は前方車両との間に十分な距離を確保して万一に備えます。
③停車中の車間距離4m確保!
追突時の安全性向上や緊急時の回避スペースを確保するため、停車中も一定の車間距離を確保します。
4mも?という感じがするかもしれませんが、車体が大きいローリーは一般車両と比べても威圧感を与えがちです。停止車間距離を2mとした場合、ローリーの前方車両から後ろを確認すると、トラクターヘッドのボンネット部分が迫ってきていて、ローリー以外の左右の状況を確認することができません。一方、しっかり4mの車間距離を空けた場合、ナンバープレートまでしっかり確認することができます。車間距離を確保し、事故を防ぐと同時に、周囲の歩行者・自転車・他の車両への配慮ある優しい運転を心がけます。
④時差発進2秒後!並走を避ける!
前方車両の発進後2秒遅れて発進することで、予期せぬ事態に備えやすく、信号無視の車両との衝突を防ぐことができます。また、この遅れにより、並走を避けたり危険回避スペースを確保しやすくなるとともに、発進時のアクセル操作も緩やかになります。
⑤目線は遠く高くとり15秒先を把握!
運転中は常に15秒先を見据え、前方の信号や工事区域などの変化を早めに察知して対応することで、スムーズかつ安全な運転を心掛けます。
⑥一点凝視禁止!絶え間なく視線を移動!
優良運転者は絶え間なく視線を動かし、車両直進方向だけでなく左右方向の状況も把握します。
⑦5~8秒毎にミラーチェック!
サイドミラーには平面ミラーと凸面ミラーがあります。凸面ミラーは、左右のミラーで比較した場合、左側のミラーの方がより遠くに見えるため、左折時には巻き込み事故に注意します。
大型トラックの車輪脱落防止
令和5年度、貨物自動車(車両総重量8t超え)及びバス(定員30名以上)の車輪脱落発生件数は142件、うち人身事故は2件あり、平成23年以降年々増加しています。また、車輪脱落の94%は左後輪に集中しています。このような車輪脱落を防ぐため、4つのポイントに気を付けています。
1. 締付け方式には、球面座で締付けるJIS方式と平面座で締付けるISO方式があります。「規定の締付けトルク」で確実に締付けます。
2. 50~100km走行後は、しっかり増し締め締付け後の初期なじみによって、締付け力が低下します。ホイール取付後、50~100km走行後を目安に「規定の締付けトルク」で増し締めを行います。
3. 目で見て、触って1日1回車輪点検、運行の前に、ホイールボルト、ナットを目で見て、触って点検します。異常を発見したら直ぐに整備工場へ行きます。
4. ホイール履き替えは、適合するボルト&ナットでスチールホイール、アルミホイール履き替えの際は、それぞれ適合するホイールボルトやナットを使用します。誤組や混用は、ボルトの折損などの原因になります。必ず確認します。
車両火災防止
トレーラー火災は3年間で82件発生し、原因の85%がブレーキにあります。火災の発生要因は以下が挙げられます。
・ブレーキペダルの戻り不良
・ハブベアリング潤滑不良
・ブレーキチャンバー不具合
・エンジンオイルの劣化
・その他
このような火災を未然に防ぐため、5つの日常点検・定期点検を徹底します。
・メーカー推奨の定期部品交換の実践
・走行中に違和感を感じたら整備管理者に報告
・バッテリーや電装品取り付けは専門家に任せる
・定期的なキャブティルトで、エンジン回りをチェック
・可燃物をキャブ内に放置しない
エコドライブのポイント
燃費悪化の4要素
燃費悪化の要因は、1位波状運転、2位急発進・急加速、3位遅いシフトアップ、4位急ブレーキとなっています。
これらの燃費悪化を抑えるために気を付けるべきエコドライブのポイントをお教えします!
エコドライブのポイント
※暖機運転:車のエンジンをかけた後、少しそのままにしておいてエンジンを温めること。これによりエンジンがスムーズに動くようになり、車の部品が傷みにくくなります。
まとめ
エコ&セーフティドライブ講習会では、安全運転とエコドライブの重要性を理解し、実践するための具体的な技術が紹介されました。この結果、エコドライブの実施後には平均燃費が向上し、年間平均事故件数も減少するなど、明確な成果が表れています。
皆さんも、日々の運転にエコドライブを取り入れ、安全を確保しながら燃費効率を高め、持続可能な未来に貢献していきましょう!
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後編では、試乗コースの省エネ走行に潜入した内容を紹介します!ぜひご覧ください!!