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ENEOS VOICE 第1回(後編) AIシミュレーションツール「Matlantis」世界中の企業・研究機関が活用するその内容とは?

2025.12.16
事業紹介
ENEOSホールディングス

 ENEOS VOICE 第1回(後編) は、上柳さんに実際にMatlantisを使用していただき、研究開発が何万倍にも向上した計算速度の「速さ」と、初めての方でも容易に使用可能な「手軽さ」を体験していただきます。

 近年、生活の様々な場面でAI(人工知能)の技術に触れる機会が増えています。そこで、ENEOSグループの誰もがAIを活用できるよう、2025年6月、ENEOSホールディングス株式会社内に「AIイノベーション部」が創設されました。この「AIイノベーション部」が推進する3つの先端プロジェクトについて、ニッポン放送の朝の顔、ラジオパーソナリティの上柳昌彦さんによる担当者へのインタビュー全3回シリーズでお届けします。第1回目は、世界中の100以上の企業・研究機関が活用するAIシミュレーションツール「Matlantis」について、AIイノベーション部・デジタル事業開発グループの大場 優生さんにお話しを聞きました。

※「ENEOS VOICE」は、音声でENEOSグループの事業やビジョンなどをお伝えするコンテンツです。文字を読むのはちょっと…という方もお気軽にぜひお聴きください。

この記事の目次

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どんな時にMatlantisを使ってみようとなるのか

上柳:このスタジオでも、新しい素材の開発が可能なのでしょうか?
大場:はい!Matlantisは、パソコンとインターネット環境さえあれば、ブラウザ上で操作でき、手元にスーパーコンピューターは不要です。この“手軽さ”が、材料開発のスピードを一気に向上させます。大学で講義を行うことがあるのですが、その際も学生たちが各自のパソコンで「Matlantis」を使用することが可能です。

上柳:具体的にはどのような開発を行う際に「Matlantisを使ってみよう」となるのでしょうか。
大場:例として、アンモニアを生成する化学反応において、触媒の能力を上げたいときに、よく用いられるプラチナの元素の一部を異なる元素に置換することを考えます。考えうる組み合わせ数は膨大になってしまいますが、Matlantisならば超高速でその最適解を導くことが可能です。

上柳:大学の講義では、どのように活用されましたか?
大場:昨年は「最強の脱臭剤を作ろう!」というテーマで実施しました。においの分子(アンモニア)を特に吸着する分子を、コンピューター上でその場で作成しました。Matlantisは計算速度が非常に速いため、作成後即座にその性能を評価することができます。講義に参加された学生や企業の方々が互いに議論しながら改良を重ね、最終的に“最強の脱臭剤”を決定しました。

大場さんの大学講義の様子はこちら

上柳:におい(アンモニア)をいかに除去するか、それに適した物質は何で、どれをどう組み合わせるべきかを、Matlantisがその場で解決するということですね?
大場:その通りです。

スタジオでMatlantisを体験してみる

上柳:これはどこにでもある普通のパソコンですね。立ち上げているこれは何ですか?
大場Matlantisの起動画面です。通常のパソコンでブラウザを立ち上げただけです。この中で分子を作成します。

上柳:最強の脱臭剤を作ろうという画面が表示されました。「アンモニア+オリジナル脱臭剤=吸着構造」とありますが、つまり、アンモニアを吸着し除去する物質を考えるということですね。
大場:その通りです。まず、上柳さんのオリジナル脱臭剤の名前を決めましょう。
上柳:製油所があり、夜景が美しい千鳥町にある、大場さんの職場(ENEOS株式会社 中央技術研究所)にちなんで、脱臭剤の名前は「ちどりくん」にします。

「オリジナル脱臭剤」を設計し、Matlantisで高速に性能評価をしてみる

大場:いいですね!それでは、「ちどりくん」の構造をパズル感覚で考えてみてください。
上柳:パソコンで漢字を調べる手書きパッドのような画面でクリックすると分子ができていくのですね。

大場:はい、元素を置換することも可能で、炭素を選択してクリックで酸素に変えるだけでアルコール分子に変えることもできます。部品が豊富にありますので、オリジナルの脱臭剤を作成しましょう。
上柳:どのようにつながっていくのか、どんな分子なのかわたしはわかりませんが、適当にくっつけていくと構造が変化していきます。

大場:それらしい分子が構築されましたね!それでは、計算してみましょう。

上柳:このような分子は実在するのでしょうか?
大場:おそらく存在しないかもしれません。全くオリジナルで、この場で初めて計算されるかもしれません。ここから、構造を安定化させて吸着のシミュレーションを行います。計算が開始されましたが、計算1回あたり、従来1~2時間以上かかっていた計算が、1秒以下で行われ、「ちどりくん」がエネルギー的に安定する構造へと変化しています。計算には、アンモニア単体、「ちどりくん」単体、「ちどりくん」+アンモニアの複合体の3つのエネルギーが必要で、差し引きによりどの程度安定化するかがわかります。計算が完了しました(※計算が進んでいる様子をみやすくするためにグラフ化しているので、通常より時間がかかっています)。さらに、吸着の結果がアニメーションとして表示されました。

上柳:Matlantisの画面上でアンモニアと「ちどりくん」の分子構造が別々に動いていますね。
大場:はい、ゆっくりと動いて安定した構造になりました。その結果、脱臭剤としての性能がCランクからSランクで評価されます(※大場さんが定義した基準であり、Matlantis本来の機能ではありません。)「ちどりくん」はなんとAランクを獲得しました!適当に作成した「ちどりくん」はアンモニアをよく吸着するようです!

上柳:(笑)これだけのことを普通のパソコンで行うと、従来はどれくらいの時間がかかっていましたか?
大場:見たことのない構造なので正確な予測は難しいですが、おそらく(計算手法の決定のための時間も加味すると)30分~1時間ほどでしょう。

上柳:従来の計算をMatlantisが短時間でこなすということですね。きっと大場さんの講義を受けた学生さんたちは、化学の知見を使ってよりアンモニアを吸着するための分子を構築されたのでしょうね。
大場:そうですね。でも、わたしは知見を使わず直感や遊び心を取り入れた研究も大事と考えています。初心者が簡単に作ったものの方が、実際にうまくいく場合もあります。従来の常識からはずれることで、大きな成功をもたらすこともあります。なので、臆せず様々な方々にシミュレーションをしていただきたいなと思います。

上柳:Matlantisを使うことで、全く新しい素材を創造することも可能なのでしょうか?
大場:今回のようにエネルギーだけでは吸着剤の性能を評価することは、本当はよくなくて、物質の危険性やコスト等の要素も考慮した総合的な評価が必要となってきますが、もちろんその可能性はあります。これまで考慮されていなかった元素の組み合わせを試せる点がMatlantisの利点です。

株式会社MatlantisHPはこちら:

▼次回は【第2回:「EMS」とは?前編】をお届けいたします。

 ENEOSが「蓄電池」に注力する理由とは何でしょうか。第2回の記事では、ENEOSホールディングスのAIイノベーション部が推進する「EMS蓄電池運用計画最適化システム」に焦点を当てます。AIを用いて発電量や市場価格の予測を行い、蓄電池の運用計画を最適化する取り組みを詳しく解説します。北海道の室蘭における実用事例や開発の背景もご紹介し、再生可能エネルギーとの関連性や未来への展望を探ります。エネルギー管理の最前線を知る絶好の機会です。どうぞご期待ください。