ENEOSホールディングス NVIDIA ALCHEMIを活用した液浸冷却液・酸素発生反応触媒の探索・最適化の加速に成功
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ENEOSホールディングス株式会社(以下、ENEOS HD)は、NVIDIAが提供するAI駆動型の化学・材料探索プラットフォームであるNVIDIA ALCHEMI*1を活用し、次世代の液浸冷却液*2に加え、酸素 発生反応(以下、OER)触媒の探索と最適化の加速に成功しました。また、このたび、その成果がNVIDIAのウェブサイトCorporate Blog*3, Technical Blog*4に公開されましたので、お知らせいたします。なお、Supercomputing2025にて関連の発表をしております。詳細については以下のとおりです。
ENEOS HDは、化学計算を高速化するNVIDIA ALCHEMIを活用し、2つの事例において大規模な仮想スクリーニングを実施しました。このアプローチにより、AIを活用したより効率的なシミュレーションを行い、その結果である処方の表現の精度向上を実現することが可能となりました。まず、データセンターの熱管理を目的とした液浸冷却液に関しては、約1,000万種の分子候補をスクリーニングし、誘電率や熱特性などの性能を満たすか実験評価にかける候補を約1,000種に絞り込みました。また、現在用いられているイリジウム酸化物のコストが課題になっているOER触媒の探索では、約1億種に上る材料群の候補を評価し、合成と試験を優先すべき有望な触媒組成をおよそ1,000件抽出しました。
これらの結果は、「機械学習原子間ポテンシャル(MLIPs)によるシミュレーションの加速」、および自動化されたワークフローオーケストレーション*5により、従来は何年も要していた探索プロセスを数か月に短縮できることを示しました。具体的には、熱特性、誘電 特性、触媒活性などの要件を、AIが計算できるような指標に落とし込み、材料探索目標とその選定基準の決定を主導し、さらにENEOS HDの保有する分野固有の専門知識も投入することにより、AIのリソースを探索の計算や検証に集中させることができました。また、NVIDIA ALCHEMIの技術を活用することで、Matlantisのコア技術であるPreFerred Potential(PFP)の計算も数十倍以上に高速化できました。
ENEOS HDは、今後もAI活用を通じて産業向け研究開発プロセスを大幅に改善するとともに、効率性と持続可能性の向上を図ってまいります。
*1 Revolutionizing AI-Driven Material Discovery Using NVIDIA ALCHEMI | NVIDIA Technical Blog
*2 2025年3月31日発表
NVIDIA ALCHEMIとMatlantisTMの活用によるAI駆動型の新たな潤滑油・液浸冷却液の探索・最適化を加速
*3 NVIDIA Accelerated Computing Enables Scientific Breakthroughs for Materials Discovery
*4 Faster Chemistry and Materials Discovery with AI-Powered Simulations Using NVIDIA ALCHEMI
*5 シミュレーションの実行からデータ整理・解析までの一連の処理を自動化する仕組み
<ENEOSホールディングス株式会社 常務執行役員 CTO 藤山 優一郎 コメント>
CTOとして、NVIDIA ALCHEMIとENEOSグループの独自技術によって実現したこの進展を非常に喜ばしく思います。今後もイノベーションを加速し、これらの成果を持続可能な未来に貢献する商用ソリューションへと展開してまいります。
<NVIDIA High Performance Computing およびAI インフラ ソリューション担当シニアディレクター ディオン ハリス (Dion Harris) コメント>
NVIDIA ALCHEMIの大規模かつ高精度な能力を活用しながら、ENEOSは液浸冷却液から次世代 触媒まで、材料イノベーションを加速するAI駆動のアプローチを先導しています。本コラボレーションでは、アクセラレーテッド コンピューティング上の領域特化型AIが、科学的発想を産業に応用する過程を大幅に短縮できることを示すものです。
<Supercomputing 2025での発表について(参考)>
日 時: 2025年 11月18日、米国中部標準時(CT)午後12時30分から午後1時
場 所: NVIDIA ブースシアタートーク
タイトル: Harnessing Unprecedented Computational Efficiency for Novel Materials Discovery with NVIDIA ALCHEMI
発表者: ENEOSホールディングス株式会社 AIイノベーション部
辻本浩行、川見洋一郎、蓬田憲太郎、後藤正直
<液浸冷却液について>
液浸冷却システムは、非導電性の冷却液にサーバーのすべてのコンポーネントを浸すことで直接冷却します。従来の空冷方式と比較して、エネルギー効率が大幅に改善され、プロセッサのパフォーマンスが向上し、より静かなデータセンターを実現できます。ENEOS株式会社(以下、ENEOS)は、環境規制に準拠し、クラス最高性能の冷却性能と長寿命性能を提供する単相液浸冷却液をENEOS IXシリーズとして販売しています。
ENEOS IXシリーズ
<OER触媒について>
OER触媒は、水素製造のための水分解において酸素発生反応を促進する材料です。水に電気を加えると水素と酸素に分かれますが、通常この反応は非常に遅いものです。OER触媒はこの反応をより速く、より少ないエネルギーで起こします。これらの触媒は再生可能エネルギーを使って水から効率的に水素を製造するために不可欠です。OER触媒で製造されたクリーン水素は、車両の燃料、 エネルギー貯蔵、または必要に応じた電気への変換に使用できます。
<Matlantisについて>
Matlantisは、Preferred Networks, Inc.(以下、PFN)とENEOS が共同開発した、原子レベルで新材料の振る舞いを再現するユニバーサルな原子シミュレータで、大規模な材料探索を支援します。PFNとENEOSは、従来の物理シミュレータにディープラーニングモデルを組み込むことで、シミュレーション速度を数万倍に高め、多様な材料に対応できるようにしています。
そのMatlantisを販売するMatlantis株式会社は、PFN、ENEOSに加え、三菱商事が共同出資するもので、クラウド型のSaaSとして2021年7月に発売しました。触媒、電池、半導体、合金、潤滑剤、セラミックス、化学品など各種材料の発見において、2025年10月時点で150以上の機関 (企業及び大学等)に利用されています。
Matlantis|原子レベルの現象を予測するAIシミュレータ