日本最高峰レースで挑む低炭素化に向けた取り組み ENEOSがSUPER GTに供給する低炭素燃料とは

 2026年シーズンより、日本最高峰のツーリングカーレース「SUPER GT」のGT500クラスに、ENEOSが製造する低炭素燃料「ENEOS EARTH ONE(E10)」が採用されました。モータースポーツにおいてもカーボンニュートラル化への取り組みが世界的に加速する中、ENEOSはレースという極限環境を活用し、低炭素燃料の性能や可能性の検証を進めています。なぜ今、レースの世界で低炭素燃料なのか。そして、その挑戦は私たちの暮らしにどのようにつながっていくのでしょうか。今回は、SUPER GTの魅力とともに、ENEOSの低炭素燃料への取り組みをご紹介します。

この記事の目次

ENEOSが低炭素燃料を提供するカーレース「SUPER GT」とは?

 SUPER GT※は、国内最高峰のツーリングカーレースです。GT500クラスとGT300クラスの2つのカテゴリーによって競われ、国内外の有力ドライバーやチームが参戦しています。レースの大きな魅力は、単なる速さだけではない競技性の高さです。ドライバーの技術はもちろん、マシン開発力、耐久性、戦略、チームワークなど、あらゆる要素が勝敗を左右します。また、サーキットでの観戦だけでなく、ライブ配信やイベントなどを通じて幅広いファンが楽しめるエンターテインメント性も人気の理由です。

 そして、2026年シーズンには、GT500クラスでENEOSの低炭素燃料「ENEOS EARTH ONE(E10)」が使用されます。これはモータースポーツにおけるカーボンニュートラル化に向けた新たな一歩でもあります。

※「GT」とは「Grand Touring」の略で、長距離を高速かつ快適に走行できる高性能スポーツカーを指します。

GT500マシンを走らせるENEOSの低炭素燃料「ENEOS EARTH ONE」とは?

 ENEOS EARTH ONE(E10)とは、ガソリンに植物由来のバイオエタノールを約10%混合した低炭素燃料です。原料となる植物は成長過程で大気中のCO₂を吸収するため、従来の化石燃料のみを使用する場合と比較して、ライフサイクル全体でのCO₂排出量低減が期待されています。自動車のカーボンニュートラル化というと電動化が注目されがちですが、既存の内燃機関を活用しながらCO₂排出量の削減を目指せる選択肢として、低炭素燃料への期待も高まっています。

 ENEOSがSUPER GTへENEOS EARTH ONE(E10)を供給する理由の一つは、レースという極限環境での実証にあります。レースカーのエンジンは高出力かつ高負荷の状態で走行を続けます。こうした過酷な環境は、低炭素燃料の可能性を試す"実証フィールド"でもあります。その条件下で性能や品質を検証することで、将来の社会実装に向けた貴重な知見を得ることができます。

 モータースポーツは単なる競技の場ではありません。これまでも多くの技術がレースを通じて磨かれ、社会に広がってきました。低炭素燃料もまた、その可能性を広げる技術の一つとして期待されています。

ドライバーに聞く!低炭素燃料はレースをどう変えるのか

 低炭素燃料の導入は、実際にマシンを操るドライバーにどのような変化をもたらすのでしょうか。今回、ROOKIE Racing※に所属する福住仁嶺選手に、低炭素燃料の導入に対する印象や実際に走行した際の感覚について伺いました。低炭素燃料の導入によって、走行感覚やマシン性能に変化はあるのか。現場で走るプロドライバーの声から、実際の使用感や可能性に迫ります。

※ROOKIE Racingは、2018年に豊田章男氏が「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」と「世界で戦えるクルマ屋集団をつくる」という想いから立ち上げを決意したレーシングチームであり、2021年からはENEOSとともにSUPER GTを戦っています。

低炭素燃料の導入を初めて聞いたとき、どのように感じましたか?

福住仁嶺選手(以下、福住選手):モータースポーツをより環境に配慮した競技へ変えていくために、さまざまな取り組みが進められているのだなと感じました。一方で、これまで経験したことのない燃料だったので、どのようなものなのかイメージが湧かず、これまでと同じようにパワーを出せるのかという不安もありました。

実際に低炭素燃料で走行してみて、従来の燃料との違いは感じましたか?

 福住選手 初めて走行したときは、パワーの出方やにおいなどに従来の燃料との違いを感じました。ただ、テストを重ねていくうちに改善が進み、次第に違和感なく走行できるようになりました。

ドライバーとして、モータースポーツで低炭素燃料を使用することに、どのような意義を感じていますか?

 福住選手 CO₂排出量を抑えられるという点で、環境にはもちろん、レースを観に来てくださるお客さまや子どもたち、実際にレースに携わる僕たちにとっても良い取り組みだと思います。低炭素燃料の使用をきっかけにレース界が変わっていくなと感じています。

今後、モータースポーツが脱炭素社会に貢献していくことについて、どのような期待がありますか?

 福住選手 モータースポーツは世界中で行われているスポーツです。低炭素燃料をはじめとする取り組みを通じて環境負荷を減らし、より環境に配慮したスポーツへと変わっていくことで、さらに多くの方に興味を持ってもらえたらうれしいです。モータースポーツの魅力を保ちながら、地球温暖化対策にも貢献していければと思います。
レース中の福住選手

モータースポーツから社会実装へ

 ENEOSが目指しているのは、レースでの活用だけではありません。レースで得られた知見を蓄積しながら、将来的な社会実装につなげていくことが大きな目的です。

 低炭素燃料の普及には、原料の安定確保やコスト低減、製造から供給までのサプライチェーン構築など、さまざまな課題があります。だからこそ、まずはレースという実証の場で性能や運用面の知見を積み重ねることが重要になります。カーボンニュートラル社会の実現に向けては、多様な技術を組み合わせながら取り組みを進めていく必要があります。

 ENEOSグループは、「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」の両立を目指し、これからも挑戦を続けていきます。

今後のレース予定

 2026年シーズンのSUPER GTは終盤戦を迎えます。ENEOSが提供する低炭素燃料が、日本最高峰レースの舞台でどのような成果を生み出していくのか。ぜひ今後のSUPER GTにもご注目ください。

<最終戦概要>

 日程 : 11月6日(金)~11月8日(日)
 場所 : モビリティリゾートもてぎ
 レース:

2026 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT 250km RACE GRAND FINAL

2026 AUTOBACS SUPER GT Round3 MOTEGI GT 250km RACE

詳細はSUPER GTオフィシャルサイトにてご確認ください。

All photos by Sho Tamura