ENEOSグループ、シェブロン社の東南アジア・豪州の複数の下流事業を取得へ

2026.6.30
事業紹介
ENEOSホールディングス

ENEOSホールディングスは、Chevron社(以下、シェブロン)が東南アジアやオーストラリアで展開する燃料油・潤滑油販売事業の取得に向け、株式譲渡契約(SPA)を締結しました。今回の取組みは、ENEOSグループが第4次中期経営計画(※)に掲げる 「筋肉質な経営体質への変換」と「ポートフォリオの再編」を具体化するための重要な一歩です。シェブロン社は、世界各地で幅広いエネルギー事業を展開するグローバル企業であり、アジア太平洋地域では長年にわたりCaltexブランドのもとで燃料油・潤滑油事業を展開してきました。

ENEOSグループは、日本と東南アジア・オーストラリアをつなぐ事業基盤を飛躍的に強化し、各地域の競争力ある事業基盤を結集することで、次の成長ステージへと歩みを進めます。

ENEOSグループ「第4次中期経営計画」の詳細はこちら:

中期経営計画 | ENEOSグループについて | ENEOSホールディングス

※冒頭写真(左から右) ENEOS ホールディングス株式会社 代表取締役 社長執行役員 宮田 知秀と Chevron Corporation ダウンストリーム/ミッドストリーム/ケミカル部門担当責任者 アンディ・ ウォルツ氏

シェブロンのアンディ・ウォルツ氏について

アンディ・ウォルツ氏は、202410月よりChevron Corporationのダウンストリーム/ミッドストリーム/ケミカル部門担当責任者として、世界全体における製造、マーケティング、潤滑油、化学品、添加剤事業に加え、海運、パイプライン、トレーディング部門を統括しています。

成長市場で広がるENEOSグループの事業基盤

ENEOSホールディングスは、シェブロン社のグループ各社から、シンガポール、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、インドネシア、ベトナムにおいて燃料油および潤滑油販売事業を行う法人の持分100%、そしてシンガポールにおいて製油所を営むSingapore Refining Companyの持分50%を取得します。

今回の取組みは、単に海外展開の規模を広げるだけではありません。日本国内では石油需要の減少が続く一方、東南アジアでは今後も需要の拡大が見込まれています。ENEOSグループは、こうした市場環境の変化を見据え、成長市場における事業基盤を強化することで、新たな収益機会を取り込み、かつ日本にとって重要な輸出市場であるオーストラリアでのトレーディング機会の拡大を目指しています。

「ポートフォリオ再編」を前進させる戦略的な一手

ENEOSグループは、第4次中期経営計画において「筋肉質な経営体質への変換」と「ポートフォリオの再編」を大きな柱に掲げています。これまでも、基盤・素材・低炭素領域における既存事業の強化に加え、M&Aを通じた成長機会を追求してきました。今回の海外事業の取得は、そうした方針を具体的に実行する象徴的な取組みといえます。

今回取得する事業群には、燃料油・潤滑油の販売網だけでなく、コスト競争力のある輸出型製油所や、各地域で培われたネットワークも含まれています。これにより、日本国内の事業基盤と海外のアセットをつなぎ、サプライチェーン全体の最適化を進めることが可能になります。

ENEOSとシェブロンをつなぐ歴史

今回の発表において注目したいのは、ENEOSグループの源流のひとつである日本石油とシェブロンとの歴史的な関係です。終戦直後、日本の石油会社は原油や石油製品の輸入に制約があり、事業活動は大きく制限されていました。そうした中、日本石油は占領政策の変更を見据え、シェブロンの源流である、Standard Oil of CaliforniaThe Texas Companyの共同出資会社で主に中東・アジアなどの海外事業を担当していたCaltexとの提携交渉を開始しました。

19493月、日本石油はCaltexと「石油製品委託販売契約」を締結しました。これにより、Caltexの石油製品が日本で販売されるようになり、日本石油の給油所の店頭にはCaltexの象徴である「赤い星」マークが登場しました。その後、燃料供給の場であった給油所が、オイル交換や軽整備などの機能を加えた「サービスステーション」へと発展していく過程でも、Caltexのブランドは日本の街なかで親しまれてきました。

画像は1949年(昭和24年)当時、カルテックスマーク第1号となった給油所です。

このつながりは、事業にとどまりません。ENEOS野球部の前身である日石CALTEX野球部は、1950年に創部され、1999年に日石三菱野球部へ改称されるまで、Caltexの名を冠して活動してきました。その間、都市対抗野球大会で8回の優勝を果たしており、Caltexという名前は、ENEOSグループの歴史の中で、事業面だけでなくスポーツ・文化の面でも広く親しまれてきました。

出典:第93回都市対抗野球大会優勝記念誌「力と希望2022」(制作:毎日新聞社) 
※禁無断転載

今回の取組みは、歴史的・文化的にもつながりの深いシェブロン社の事業を受け継ぐという点においても、ENEOSグループにとって大変意義深いものです。

シェブロンの強みとENEOSグループの強みを未来につなぐ

今回の取組みにおいては、シェブロン社が長年にわたり築いてきたCaltexブランドを継続使用する方針です。ENEOSホールディングスの宮田知秀社長は、シェブロンが築き上げてきたブランドバリューを守りながら、さらに高めていきたいと語っています。アジア太平洋地域で高い認知と信頼を持つブランドを受け継ぐことは、スムーズに事業継承を行う上で大きな力になると考えています。

一方で、価値の源泉はブランドだけではありません。ENEOSグループが100年以上にわたり培ってきた製油所運営・トレーディング・販売の知見と、シェブロンの経験豊富な人材や各地域で築き上げてきたネットワーク・事業基盤とが生み出すシナジー(相乗効果)も大きな価値と考えています。調達・物流・販売・トレーディングなど、多面的な機能を一体的に強化していくことで、グループ全体の競争力をさらに高めていきます。

次の成長ステージを支えるのは、一人ひとりの挑戦

今回の海外事業取得は、ENEOSグループにとって次の成長ステージを切り拓く重要な一歩です。しかし、本当の意味で価値が問われるのは、ここからです。新体制の発足に向けては、各国の人材・文化や事業の歴史を尊重しつつ、ENEOSグループの知見や価値観を丁寧に共有し、相互理解を深めていくことが欠かせません。スムーズかつ着実な事業移管を実現するためには、社員一人ひとりの主体的な関わりが求められます。

変化を恐れず、前向きに挑戦する姿勢こそが、ENEOSグループが大切にしている価値観です。今回のプロジェクトは、新たな事業を迎え入れるだけでなく、グローバルに勝負できる企業グループへと進化する機会です。

日本で培ってきた技術・運営力・信頼を土台に、海外で新たに加わるアセット・人材を掛け合わせていく。今回の海外事業取得は、その未来に向けた確かな第一歩です。ENEOSグループはこれからも、社会や市場の変化を的確に捉えながら、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指していきます。