国内最大の供給体制を目指す
SAF※1とは廃食油、バイオマスや廃棄物を原料とする低炭素の持続可能な航空燃料を指します。航空分野では、2020年以降に温室効果ガスの排出を増加させないためのCORSIA※2規制が導入されています。さらに2022年10月、GHG※3の排出を2050年までに実質ゼロにするという目標を国際民間航空機関(ICAO)が採択し、2024年以降は、2019年のCO2排出量をベースラインとして、CO2排出量をベースラインの85%以下に抑える目標が設定されています。また日本国内でも、2030年より、2019年度に国内で生産・供給されたジェット燃料のGHG排出量の5%相当以上のSAFを供給することが目標量として定められる見通しです。
こうした動きを踏まえ、ENEOSグループは、SAFの輸入を実施し、早期サプライチェーン構築を進めるとともに、和歌山製造所の運転開始に向けて取り組んでおります。
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Sustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)
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Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation(国際民間航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム)
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Green House Gas(温室効果ガス)
事業方針
・輸入体制の早期構築
・自社製造体制の構築
和歌山製造所:40万KL/年
その他国内外での製造:検討中
主な取り組み
SAFの輸入体制、自社製造体制の構築
ENEOSグループはまず、SAFの安定供給を実現するために国産SAF製造および海外からのSAF輸入の取り組みを進めています。
SAF製造については、和歌山製造所での年間40万KLの量産供給体制の構築を目指し、三菱商事と共同で検討を進めています。また、豪州においてもSAFの製造設備を開発すべく、Ampol社と共同検討の覚書を2023年3月に締結しました。
海外からの輸入に関しては、2024年度に国内の石油元売として初めてSAFの輸入を開始し、10社以上の航空会社に対しSAFの供給を行いました。
中長期的には、独自技術で次世代SAF(合成燃料)の開発・社会実装を目指しています。
廃食油の有効活用
揚げ物などの調理に使用した後の廃食油は、外食店などから排出される事業系と一般家庭から廃棄されるものを合わせて、年間50万トン排出されています。
事業系のうち約7割は飼料用途などにすでに利用されているため、ENEOSは既存の利用先を尊重しつつ、現状海外に輸出されている約3割の12万トン/年について和歌山製造プラントへの活用を目指します。また、一般家庭から排出されている廃食油10万トン/年の約9割は廃棄されており、この廃棄分の回収スキームの構築も検討をしています。

(出典)全国油脂事業組合連合会(全油連)データをもとに一部当社推定
関連事業
石油製品ほか事業
ENEOSグループは、「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」との両立に向け挑戦します。