CTOメッセージ

常務執行役員 CTO 藤山 優一郎

エネルギーに関する社会情勢は、脱炭素の方向性に沿いつつも、石油を含めた安定かつ経済的なエネルギー供給がより重視される環境となってきています。この背景としては、地政学的リスクとそれによるエネルギー安全保障意識の高まり、脱炭素社会実現に向けたコスト負担の増加といった、「不確実性の高まり」によるところが大きいものと認識しています。

このような社会情勢の大きな変化を踏まえ、2025年5月に公表したカーボンニュートラル基本計画2025年度版の作成にあたっては、まず複数のシナリオを設定することから始めました。その時代時代でお客様が、社会が必要とするエネルギーと素材を供給し続けることが弊社の使命であるとの強い覚悟をもって、世の中がどのような方向に進んでも対応できることを目指しています。

当面、人類が頼らざるを得ないエネルギー源である化石資源をより有効に活用する技術は依然として重要であり、二酸化炭素の回収・貯留技術であるCCSはそのための新しい重要なピースです。再生可能エネルギーもより安価にすることを目指すとともに、無駄なく使う技術を磨く必要があります。そのためのバイオマスの有効利用は、食料との競合や絶対量の問題はありつつも、当面経済合理性が高いカーボンニュートラル化手段として重要です。そして、トランジションがさらに進んだ世界では、水素などがエネルギー安定供給の重要な役割を担います。

先行きが不透明な時代の中、どのような状況になってもいち早く対応できるよう、社会が必要とする技術を準備する。これが、「今日のあたり前」を支え、「明日のあたり前」をリードするENEOSグループ技術陣の使命です。

常務執行役員 CTO

藤山 優一郎