コンプライアンス

基本的な考え方

ENEOSグループは、グループ理念に「高い倫理観」を掲げるとともに、これをグループ行動基準に定め、コンプライアンスの徹底を図っています。
2022年度、当社グループにおいて重大な法令違反は発生していません。

ENEOSグループ行動基準(抜粋)
  1. 1.コンプライアンスの徹底と社会規範への適切な対応
    1. (1)私たちは、コンプライアンス(法令・契約・社内規程類等の遵守)を徹底し、社会規範に適切に対応します。
    2. (2)私たちは、コンプライアンスに違反する状態を放置せず、また加担しません。

体制

内部統制とコンプライアンスを実効的かつ効率的に実践することを目的として、経営会議のもとに、関係役員・部長をメンバーとした「内部統制・コンプライアンス委員会」を設置し、定期的にグループ全体の内部統制・コンプライアンス活動の実績と課題を確認し、今後の活動方針の審議を行っています(「内部統制の総括体制」参照)。

重点課題と計画・実績

2022年度の目標と結果・進捗

評価:達成・順調未達

ESG重点課題 取り組み項目 目標(KPI) 結果・進捗
コンプライアンスの推進 遵法状況点検 遵法状況点検の実施

実施
(重大な問題なし)
重要法令研修の実施 個人情報の管理強化および事業ニーズに応じた法務研修の実施

実施
内部通報制度の運用 公益通報者保護法改正を踏まえた規程類の見直しおよび適切な運用

実施

主な取り組み

内部統制・遵法状況点検

各職場における自主点検の取り組みとして「内部統制・遵法状況点検」を毎年実施しています。
誠実性や倫理観を大切にする企業風土が醸成されているか、各業務が全社で共通して守るべきルール(内部統制基準)に適合しているかを点検するとともに、経営環境が大きく変化するなか、リスクが適切に特定・評価され、これに対して有効なコントロール(統制活動)が策定・運用されているかを、リスク・コントロール・マトリックス(RCM)と呼ばれるツールを用いて点検しています。また、すべての従業員が上長との面談を通じ、疑問・懸念を含めたコンプライアンス上の問題点を洗い出し、法令等違反行為の未然防止と早期の発見・是正に向けた点検活動を実施しています。
2022年度は、点検の結果、約800件の問題点や疑問・懸念が出されました。うち経営に重大な影響を及ぼすものはなく、その約8割を年度内に解決し、残りの約2割についても早期是正に努めています。

コンプライアンス違反事例(2023年度)

ENEOSにおける高圧ガス保安法上の不備

ENEOSにおける高圧ガス保安法上の不備により、2023年6月9日付で経済産業省から、川崎製油所浮島北地区・浮島南地区への同法に基づく「認定完成検査実施者」(浮島北地区は、コンビナート等保安規則に基づく「特定認定完成検査実施事業者」を含む)の認定取消し処分を受けました。高圧ガス保安法に定める認定事業者として、厳しい自主保安管理が求められるなかにあって、このような事態を招きましたことを深くお詫び申し上げます。
同社では、同様の事態を二度と繰り返さないよう、全社を挙げて、高い保安意識の徹底や保安管理体制の強化等の再発防止策に取り組んでいきます。
また、グループ全体で、コンプライアンス遵守への取り組みを再徹底・強化し、皆様の信頼を早期に回復できるよう努めます。

コンプライアンス研修等

コンプライアンスの徹底は、役員・従業員一人ひとりがその意識を強く持つことが重要であり、「ENEOSグループ理念」カードおよび「ENEOSグループ行動基準」ハンドブックを全員に配付するとともに、役員・従業員に対するコンプライアンス研修を計画的に実施しています。
2022年度は、コンプライアンス、競争法、贈収賄防止、個人情報保護法、インサイダー取引規制をテーマとする全社向け研修、販売部門に対する独占禁止法研修等を実施し、従業員の意識向上や各事業における法令違反未然防止を図りました。今後も、適切なテーマ選定のもとに研修を実施し、コンプライアンスの徹底に努めます。

内部通報制度の整備・運用

通報フロー図

法令等違反行為の早期発見・早期是正を図るため、当社および一部子会社において、従業員や請負先の従業員等を対象とした内部通報制度(コンプライアンスホットライン)を設けています。
同ホットラインは、公益通報者保護法に則した内部通報制度です。社外の専門業者による通報窓口を設置し、実名・匿名両方の通報に対応するとともに、グループ通報制度を採用し、ENEOSグループ各社が設置する通報窓口に通報することも可能とするなど、適切な通報対応が可能な体制を構築しています。なお、出資比率50%超の海外子会社等を対象とした内部通報制度も導入しており、一部では多言語対応を行っています。
通報を受けた際は、社内規程に基づき、その内容を会長・社長を含む関係役員に報告のうえ、法務部長の責任のもと調査を開始するとともに、調査結果、必要な是正策および再発防止策についても役員への報告を行っています。なお、実名での通報者に対しては調査結果をフィードバックしています。
また、従業員が内部通報制度の利用を躊躇しないよう、通報者の秘密を厳守することや、法令違反かどうか判断がつかない内容でも相談可能であることをイントラネットやポスター、研修等を通じて周知しています。
2022年度、当社グループ全体で227件の内部通報がありました。

競争法の遵守

当社グループは、国内外の競争法の遵守をグループ全体で徹底することを方針とし、これに必要な社内規程を整備するとともに、経営トップの競争法遵守に関する明確なコミットメントのもとで、すべての役員・従業員が法令遵守のための取り組みを実践しています。
具体的には、「ENEOSグループ競争法遵守ポリシー」を制定し、役員・従業員に対し、カルテルをはじめとする各国の競争法に違反する行為を一切禁止しています。また、競争法に違反する行為が、商慣習、行為者の職務上の地位、事業もしくは取引の維持・拡大または利益の獲得をもって正当化されることがないことも明確にしています。
毎年、法務部門が、各部署における競争事業者との接触予定を把握したうえで、接触に関する競争法上のリスクを評価し、接触した記録の提出を求めるなどすることで、競争法違反の未然防止に努めています。
さらに、役員・従業員に対し、競争法遵守に関するコンプライアンス研修を定期的かつ継続的に実施しています。

競争法遵守ポリシーの運用

当社グループは、グループ行動基準における「7.公平・公正な取引」における競争法遵守の基本原則に基づき「ENEOSグループ競争法遵守ポリシー」を制定・公表し、当社グループが競争法を遵守することを明確にしています。
今後も、グループ行動基準の適用範囲に同ポリシーを周知徹底し、遵守を求めていくほか、当社グループのみならず、バリューチェーンを構成する会社等に対しても、協力を要請していきます。

贈収賄・汚職の防止

当社グループは、国連が提唱する「グローバル・コンパクト」に参加し、腐敗防止を含む10原則の実践に努めています。「ENEOSグループ腐敗防止ポリシー」を制定・公表し、当社グループが腐敗行為にかかわらないことを明確にしています。腐敗防止に関しては、贈収賄を認めないことを方針とし、グループ各社で「贈収賄防止基本規程」等の社内規程を整備し、各社経営陣の贈収賄防止への明確なコミットメントのもと、すべての役員および従業員が精力的に取り組んでいます。具体的には、旅費負担、接待・贈答、寄付行為について、賄賂と疑われる恐れがないかを各国の法令に照らして確認する仕組みを実践しています。
また、代理店・エージェント・ディストリビューター等の第三者を通じて贈賄行為に関与しないよう、第三者デュー・ディリジェンスの手続きも実践しています。
従業員に対しては、関係する社内規程を社内イントラネットやその他の手段を通じて常に参照できるようにするとともに、贈収賄防止に関するコンプライアンス研修を多数実施するなど、周知徹底を図っています。
これらの仕組みが機能しているかを内部統制・遵法状況点検や内部監査等によって継続的にモニタリングし、その結果を適宜当社取締役会へ報告する体制を取っています。日本国内の全部署・拠点を対象に、自社の贈収賄防止要領に基づく定期スクリーニングを毎年実施しています。また、新規取引先との取引開始時にはリスク調査を実施しており、リスクが顕出された場合は必要なリスク軽減措置を講じ、取引開始の可否を判断します。出資比率50%超の海外子会社に対しても「贈収賄防止ガイドライン」の制定、遵守を求めています。さらに、内部通報制度を構築することにより早期発見・是正ができる体制を整備しています。
2022年度は、贈収賄・汚職に関する重大な違反やこれに関連した罰金、課徴金または和解金は発生していません。また、懲戒処分等の社内処分もありませんでした。

腐敗防止ポリシーの運用

当社グループは、グループ行動基準における「7.公平・公正な取引」「8.政治・行政との適切な関係」における贈収賄防止の基本原則に基づき「ENEOSグループ腐敗防止ポリシー」を制定・公表し、当社グループが腐敗行為にかかわらないことを明確にしています。
今後も、グループ行動基準の適用範囲に同ポリシーを周知徹底し、遵守を求めていくほか、当社グループのみならず、バリューチェーンを構成する会社などに対しても、協力を要請していきます。

政治献金について

当社グループは、政治資金規正法の遵守を徹底しており、法律によって禁じられている政治家個人への献金や特定の政治団体・政党への法律で許容された範囲を超える金額の寄付等を禁止しています。
2022年度、政治献金(寄付)はありませんでした。

納税義務の適正な履行

事業活動を行う国・地域において、納税義務を適正に履行することは、企業が果たすべき重要な社会的責任の1つです。当社グループは、「ENEOSグループ税務ポリシー」を定め、適正な納税義務の履行をグループ全体で推進しています。

適時適切な会社情報の開示

情報開示の体制とフロー

  1. *1適時開示の要否は、担当役員、総務部長、法務部長、経理部長、情報取扱責任者(インベスター・リレーションズ部長)および関係部室長の協議により、判定します。
  2. *2緊急を要する発生事実に関する情報は、代表取締役の判断により、取締役会への報告を経ずに開示することができます。

当社は、適時適切な会社情報の開示が健全な資本市場形成の根幹をなすものであることを十分に認識するとともに、透明性の高い経営を推進すべく、株主・投資家の皆様への迅速、適正かつ公平な情報開示に努めています。
当社単体に関する情報はもとより、グループ会社に関する会社情報を迅速かつ正確に把握・管理・開示する体制を整えています。適時開示規則に該当する情報は、東京証券取引所等の提供する適時開示情報システム(TDnet)を通じて公開するとともに、当社ウェブサイトにも同一資料を掲載しています。適時開示規則に該当しない情報についても、基本方針・開示基準にのっとり積極的に開示しています。
また、当社は「インサイダー取引防止規程」を制定し、インサイダー取引規制を周知徹底させる体制を整備しています。