地球温暖化防止

基本的な考え方

ENEOSグループは、「脱炭素社会形成への貢献」に向けて、サプライチェーン全体でのCO2排出を削減します。
事業活動における省エネルギーを軸に、当社の温室効果ガス排出削減を進めています。また、再生可能エネルギー事業の拡大、水素・カーボンニュートラル燃料等の早期実用化、環境負荷を低減する環境配慮型商品の販売・開発を通じて社会全体の温室効果ガス排出削減に努めています。
なお、全社的な気候変動問題への取り組みや、TCFD関連は、気候変動のリスク/機会への対応(TCFD)をご参照ください。

体制

体制については、環境マネジメントをご参照ください。
また、当社は、当社グループのカーボンニュートラルを推進するため、2024年5月にCTOを委員長とする「カーボンニュートラル推進委員会」を設置しました。​同委員会では、事業環境に応じて基本戦略をアップデートし、策定した基本戦略に基づき、事業会社は具体的な実行計画を策定します。

重点課題と計画・実績

2023年度の目標と結果・進捗

評価:達成・順調未達

ESG重点課題 取り組み項目 目標(KPI) 結果・進捗
脱炭素社会形成への貢献 CO2排出削減(自助努力による削減量) CO2排出削減:
排出量3,000万t以下

排出量2,541万t

実績

  • マークについては編集方針をご確認ください。

GHG総排出量(Scope1+2)の推移

  • 地球温暖化対策推進法(温対法)に基づいて算出。2022年度実績からは、売電・売熱分を加味して算出。
  • 上記に関連する詳細データについてはデータ編をご参照ください。
  • 当社グループのGHG排出量(Scope1,2)算定は、GHGプロトコルにおけるコントロールアプローチを採用し、主要な対象組織をカバーしています。

石油精製のエネルギー消費原単位

  • 対象範囲:ENEOSグループの石油精製部門。

CO2以外のGHG排出量の内訳(2023年度)

項目 単位 排出量
CO2以外のGHG排出量合計 トン 124,411

(1)CH4(メタン)

トン 29,204

(2)N2O(一酸化二窒素)

トン 93,029

(3)HFCs(ハイドロフルオロカーボン類)

トン 1,711

(4)PFCs(パーフルオロカーボン類)

トン 0

(5)SF6(六フッ化硫黄)

トン 467

(6)NF3(三フッ化窒素)

トン 0

CO2以外のGHGは、主に原油・ガス生産時に随伴して生じるCH4と石油精製時に加熱炉から排出されるN2Oです。
これらのガスも含め、今後もGHG排出量削減に努めていきます。

カーボンニュートラル基本計画

目標

GHG排出量目標(Scope1+2)

対象会社 項目 2023年度実績 2024年度目標 2025年度目標
ENEOS GHG排出量 2,398万トン 2,815万トン以下 2,966万トン以下
製油所等の排出削減 ▲57万トン ▲50万トン ▲51万トン
CCS 貯留候補地選定 貯留地の決定 詳細設計
森林吸収
クレジット創出量*
累計23万トン創出 累計23万トン創出 累計54万トン創出
ENEOS Xplora GHG排出量 71万トン 63万トン以下 62万トン以下
メタン排出量 802トン 1,000トン以下 350トン以下
CCUS 25万トン 112万トン以上 112万トン以上
JX金属 GHG排出量 72万トン 72万トン以下 72万トン以下
グループ合計
(2013年対比削減量)
2,541万トン
(▲1,052)
2,950万トン以下
(▲643)
3,100万トン以下
(▲493)
  • *森林吸収のクレジット創出量は、組成されたプロジェクトのCO2吸収量(年平均値)の見込み量。

目標達成に向け、以下3つの柱に取り組みます。

  • 省エネ、燃料切り替え、再生可能エネルギーの活用等の製造・事業の効率化により、当社グループが排出する温室効果ガスの量を減らす
  • 可能な限り①を実施しても排出される温室効果ガスは、CO2を回収して地下に貯留するCCSを推進する
  • 上記①②を実施したうえで、残る温室効果ガス排出については、森林吸収等のCO2除去手段を活用する

主な取り組み

生産拠点での省エネルギー

当社グループの製油所・製造所等では、熱交換機の増設・効率化、回転機の高効率化等の取り組みを行い省エネルギーを推進しています。
2023年度のGHG排出量(Scope1+2)*は、製油所の効率化に加え、内需減少やトラブルに伴う製油所稼働減や、電気市場価格変動による売電設備稼働減により、前年度から減少し2,541万トンでした。
一方、製油所稼働減により石油精製のエネルギー消費原単位は9.20(原油換算kl/常圧蒸留装置換算通油量千kl)と前年度から0.28ポイント悪化しました。
2023年度のグループ全体の省エネ関連設備投資額は、約6.1億円でした。今後とも製油所・製錬所における省エネルギー技術の導入促進や運転最適化等により省エネルギーを推進していきます。

  • *「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づいて算出。

金属事業の主要事業所でのCO2フリー電力導入

JX金属グループのCO2自社総排出量(Scope1,2)の約6割は電力に由来します。排出量削減のため、2020年度にCO2フリー電力*の導入を開始しました。2023年度に、国内外の多くの拠点でCO2フリー電力への切り替えを完了しています。

  • *化石燃料等を用いずCO2を排出しない実質非化石電源に由来する電力で、調整後CO2排出係数が0.00t-CO2/kWhとなるもの。水力や風力、太陽光などの再生可能エネルギー電力のほかに原子力発電が含まれる場合もある。

研究開発における取り組み

当社グループは、エネルギートランジションの実現に向けて、次の分野で研究を進めています。
2023年度のグループ全体の研究開発費は約321億円でした。

  • 再生可能エネルギー由来のCO2フリー水素の製造・貯蔵・輸送・供給に関する技術開発
  • CO2フリー水素とCO2を原料とした合成燃料製造に関する技術開発
  • 再生可能エネルギーの有効活用に資する水素製造や蓄電池運用計画の最適化に関する技術開発
  • バイオ燃料に関する技術開発・事業性評価
  • プラスチック資源・使用済タイヤのリサイクルに関する技術開発
  • デジタル技術活用等による石油精製プロセスの合理化・効率化
  • 環境配慮型商品(自動車用省燃費潤滑油など)の開発

早稲田大学との共同研究拠点「ENEOSラボ」の取り組み

ENEOSは2019年11月に締結した包括連携協定に基づき、早稲田大学とともに「持続可能な未来社会実現」に向けたイノベーションを推進しています。革新的技術から、技術の社会実装のあり方を描く人文・社会科学までの分野横断的なオープンイノベーションを通して、カーボンニュートラル社会の実現に資するシーズを探索しています。

再生可能エネルギー由来の合成燃料の製造技術開発

ENEOSは、航空機・自動車等のモビリティ、化学品・潤滑油の原料といった幅広い分野におけるカーボンニュートラル化に向け、ジェット燃料やガソリン、軽油等の化石燃料の代替となる合成燃料の製造技術開発に取り組んでいます。
合成燃料は、再生可能エネルギー由来のCO2フリー水素とCO2を原料とするカーボンニュートラル燃料であり、製品ライフサイクル全体でのCO2排出量を抑制できます。また、従来の化石燃料と同様に扱えることから既存の車両や製油所設備、流通経路等を有効利用でき、エネルギートランジションの実現に向けて重要な役割を果たします。
ENEOSは、2022年4月に採択されたグリーンイノベーション基金の支援のもと、合成燃料の早期製造技術確立および社会実装を目指します。

  • *日本の「2050年カーボンニュートラル」に向けた経営課題に取り組む企業等に対して、国が10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援する事業。水素・燃料アンモニア産業を含む、エネルギー関連産業、輸送・製造関連産業、家庭・オフィス関連産業の分野が対象。

合成燃料の製造工程

「公益信託ENEOS水素基金」による水素エネルギー供給研究助成

ENEOSでは、水素エネルギー社会の早期実現に貢献することを目的に、2006年3月に「公益信託ENEOS水素基金」を創設しました。
同基金は、水素エネルギー供給に関する研究助成に特化した公益信託としては日本初です。水素エネルギー供給に関する「独創的かつ先導的な基礎研究」に対し、総額5,000万円(1件当たりの上限1,000万円)の研究助成金を約30年間にわたり安定的に交付することが可能な規模を有しています。2024年6月現在の信託財産は約6億円であり、今後約12年間にわたって安定的に交付することが可能です。

バイオエタノール(セルロース系エタノール)の製造技術開発

カーボンニュートラルの実現に向けて、自動車用燃料や化学品原料などさまざまな用途でバイオエタノールの利用が期待されています。近年は持続可能な航空燃料(SAF)の原料としても注目されています。一方で、バイオエタノールはサトウキビやトウモロコシなど可食原料からの生産が主流であり、食糧との競合が懸念されています。
ENEOSでは、パルプなどの木質バイオマスや古紙など、食糧と競合しないセルロース資源を原料としたバイオエタノール(セルロース系エタノール)の製造技術開発を進めています。2023年末にTOPPANホールディングス(株)と共同開発契約を締結し、同社開発の難再生古紙を原料とする前処理プロセスと、ENEOS開発のエタノール連続生産プロセスとの組み合わせによる事業化を目指します。
また、スズキ(株)、(株)SUBARU、ダイハツ工業(株)、トヨタ自動車(株)、豊田通商(株)、マツダ(株)(五十音順)と共同で「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」に参画し、自動車用バイオエタノール燃料を製造する技術研究を推進しています。

調達・物流における取り組み

ENEOSでは、主に日本に原油を運ぶ海上輸送において、配送効率や燃費効率の良いタンカーの利用、輸送ルートの最適化、運航スケジュールや速度コントロールによる燃費の向上等に積極的に取り組んでいます。
また、陸上輸送においては、油槽所の集約、タンクローリー等の物流効率化に加えて、アイドリング・ストップの徹底など、燃料消費量の削減に努めています。

国内輸送におけるCO2排出量

  • 対象範囲:ENEOS
  • エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律
    (省エネ法)に基づく国内輸送を対象

流通段階における取り組み

ENEOSでは、全国に展開するサービスステーションにおいて、太陽光パネルの設置やLED照明の導入等を行っており、省電力対策を積極的に推進しています。

消費段階における取り組み

2023年度の販売した製品の使用に伴うCO2排出量(Scope3)は、16,600万トンでした。
ENEOSグループでは、環境負荷低減に寄与する「環境配慮型商品」の販売・開発推進を通じて、消費段階でのCO2排出量削減に取り組んでいます。環境配慮型商品として販売する商品・サービスは、その認定の基準、手続きを明確にし、適切な管理を行っています。

主な「環境配慮型商品」
  • 省燃費/高性能多目的潤滑油各種
  • 電気自動車/ハイブリッド車向け専用フルード
  • 天然ガス、LNG
  • 高機能洗浄剤
  • 液晶ポリマー
  • 再生可能エネルギー発電電力
カーボンオフセットした天然ガス・LNGの販売

ENEOSでは、海外の森林保全プロジェクト由来の二酸化炭素(CO2)クレジット*1により、カーボンオフセット*2した天然ガス・LNGの販売を同社として初めて2021年度に開始し、都市ガス事業者に供給しています。
同社のカーボンオフセットされた天然ガス・LNGは、森林保全プロジェクトから創出されたCO2クレジットなどを利用することにより、地球規模での温室効果ガス排出量削減に加え、現地での雇用の創出や生物多様性の保護等にも貢献しています。

  1. *1環境保全等のプロジェクトにより創出されたCO2削減効果を、信頼性の高い検証機関がCO2クレジットとして認証したものです。
  2. *2天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生するCO2を相殺し実質ゼロとするものです。

取引先等との協働(CSR調達)

資機材などの購入にあたり、環境負荷などの社会的影響を考慮したCSR調達を行っています。
詳細は、サプライチェーンマネジメントをご参照ください。

温室効果ガスの排出抑制に向けたCO2見える化

当社グループおよび社会における温室効果ガス排出量削減に向けて、当社グループはそれら排出量の見える化を推進しています。
ENEOSでは、製油所での削減推進のために排出量の適時把握が重要であることから、CO2見える化システムを構築。全社の排出量の一元管理と製品ごとの排出量(カーボンフットプリント:CFP*1)の算定ができる体制を構築しました。製油所で実際に取得されたデータを用いたCFP算定は、国内石油業界で初めてです。
同システムを用いて、法定報告の効率化、月次予実管理による計画の実行管理、CFPデータの顧客への提供をしていきます。2024年から、一部製品のCFPデータは顧客への提供を開始しており、対象製品を順次拡大していく予定です。
同システムの構築により、製品単位での炭素情報の統一的な把握・管理、製造における低炭素化の取り組みのCFPへの影響分析や新製品企画段階におけるCFPの見える化、そして低炭素製品の環境価値の訴求によるビジネス機会の創出を目指します。
なお、CFPについては、Cradle to Gate*2と呼ばれる、原料調達から製品の出荷段階までに排出される温室効果ガスの量を算定します。原料調達・製造に伴う排出量の算定にあたってはLCA手法*3を用います。

  1. *1商品やサービスの原材料調達から製造等の各ライフサイクルにおいて排出される温室効果ガスの排出量を、CO2に換算して表示する仕組み。
  2. *2原材料調達、生産、流通、販売、使用・維持管理、廃棄・リサイクルで構成されるライフサイクルステージのうち、原材料調達から生産までを指す。
  3. *3製品製造について、原料等の調達から製造、輸送、使用、廃棄までのライフステージ全体の環境影響を定量的に評価する手法。LCAはLife Cycle Assessmentの略。

ENEOSグループにおけるCO2見える化の概略

気候変動対応に資する事業

再生可能エネルギー発電事業の推進

当社グループは、2025年度末までに国内外の再生可能エネルギー発電容量を200万kWとすべく事業を推進しています。2023年4月に、ENEOSの再生可能エネルギー事業をENEOSリニューアブル・エナジー(以下ERE)に事業統合し、再生可能エネルギー事業のさらなる成長を図っています。なお、再生可能エネルギー発電容量は127万kW(2024年6月時点、建設中含む)です。
EREは、国内有数の再生可能エネルギー事業者であり、高い事業開発能力を有しています。同社の事業開発能力と当社グループのエネルギー事業で培ってきた知見を結集することにより、さらに事業を発展・加速させ、日本を代表する再生可能エネルギー事業者を目指すとともに、脱炭素社会におけるエネルギーの「3E+S(安定供給・経済性・環境適合性+安全性)」の実現に貢献していきます。
再生可能エネルギー発電所に関する情報は、EREのウェブサイトをご参照ください。

JRE折爪岳南第一風力発電所
うるまメガソーラー発電所
JRE神栖バイオマス発電所

計画中発電事業一覧

  発電事業 発電容量* 運開予定
国内 新潟第1メガソーラー発電所 1.8万kW 2024年12月
JRE大分別府湾風力発電所 0.9万kW 2025年2月
下松第4メガソーラー発電所 1.7万kW 2025年11月
JRE酒田風力発電所(リプレース) 2.1万kW 2027年1月
  • *発電能力100%ベース

エネルギー源別発電能力(2024年6月現在)

火力*1(9拠点) 石油等(7拠点) 917MW
LNG(CCGT*2
(2拠点)
598MW
太陽光(90拠点) 898MW
水力(1拠点) 5MW
風力(12拠点) 179MW
バイオマス(2拠点) 91MW
合計 2,645MW
  1. *1火力は製油所自家使用除き能力。
  2. *2CCGT(コンバインドサイクルガスタービン)を備えたガス火力発電所。

再生可能エネルギー発電実績(2023年度)

太陽光 1,059,534MWh
水力 23,336MWh
風力 364,611MWh
バイオマス 506,487MWh
合計 1,953,969MWh

2023年度のENEOS電気事業における温室効果ガス排出係数*は、0.000506t-CO2/kWh(調整後)です(暫定値)。

  • *通常メニュー(再エネ電力/再エネ電力(FIT)メニュー・CO2フリー電力メニュー以外)における温室効果ガス排出係数(調整後)

水素サプライチェーンの構築

東京晴海水素ステーション
東京晴海水素ステーション

水素は、発電・運輸その他産業分野の幅広い経済活動において脱炭素化に寄与するポテンシャルを持っています。当社は水素をカーボンニュートラル実現のカギを握る有望な次世代型エネルギーの1つであると捉えています。
まず、運輸部門においては、燃料電池自動車(FCV)の普及台数は約8,500台(2024年7月末時点)であり、水素ステーションは全国に約160カ所が整備されています。ENEOSは、そのうち35カ所(2024年7月末時点)を運営しています。FCVは水素の充填時間や航続距離等の利点を活かし、商用車としての普及が期待されています。日本政府は「水素基本戦略」において商用車支援の重点化を打ち出しており、当社もそれに沿った水素ステーションの整備を検討しています。また、カーボンニュートラル対応として、一部の水素ステーションには水電解オンサイト型を導入し、再生可能エネルギー由来の電力を使用したCO2フリー水素の販売もしています。
さらに、ENEOSは、水素が発電・産業分野等でも大量に消費される社会の到来を見据え、再生可能エネルギー等の資源が豊富な海外で製造したグリーン水素を日本に輸送・供給するサプライチェーンの早期構築を目指し、国内外の企業や自治体とも協業しながら、さまざまなプロジェクトを進めています。その一環として、海外からグリーン水素を大量かつ高効率に国内に輸送するため、水素キャリアの1つであるメチルシクロヘキサン(MCH)に着目し、コスト低減に資する独自のDirect MCH®技術の開発に取り組んでいます(詳細はニュースリリース参照)。
これに加えて、ENEOSの製油所は、従来から大量の水素を安全に取り扱ってきたノウハウがあること、また、港湾・桟橋・タンク等の既存インフラが活用できることや、水素の大規模な需要が見込まれる発電所や製鉄所と近接していることなど、将来、水素の安定供給の重要拠点となるポテンシャルを有しており、これらを最大限活用しながら、水素供給インフラの整備を進めていきます。

製油所をハブとするCO2フリー水素サプライチェーンの構築

水素サプライチェーン構築関連の活動

海外

プロジェクト・組織 地域 事業概要
日豪間のCO2フリー水素サプライチェーンの構築 オーストラリア 豪州企業2社(ネオエン社(正式名称:Neoen Australia Pty Ltd)、オリジン社(正式名称:Origin Energy Limited)、それぞれとの間で、安価で安定的な再エネ電力由来の水素製造の供給可能性について協業検討を実施。
効率的な水素の貯蔵・輸送形態の1つであるメチルシクロヘキサン(MCH)プラントおよび日本への海上輸送について検討。
詳細は、以下ニュースリリース参照。
・ネオエン社 ニュースリリース
・オリジン社 ニュースリリース
マレーシアを拠点としたCO2フリー水素サプライチェーン構築(再エネ由来) マレーシア マレーシア・サラワク州において、水力発電所による再エネ由来の電力を用いて、数万トン規模のCO2フリー水素を製造。その後、MCHに変換し、ケミカル船によりマレーシア国外の需要地への海上輸送を検討。
詳細は、ニュースリリース参照。
サウジアラムコとのCO2フリー水素・アンモニアのサプライチェーン構築に向けた協業 サウジアラビア サウジアラムコが生産・供給する化石資源由来の水素製造事業や、製造時に発生するCO2を回収・貯留する事業、およびアンモニアやMCHによる需要地への水素の海上輸送を対象にフィージビリティスタディを実施。
詳細は、ニュースリリース参照。
アラブ首長国連邦と日本間のクリーン水素サプライチェーン構築に向けた共同事業化検討 アラブ首長国連邦 ADNOC(Abu Dhabi National Oil Company)の製油所・石油化学工場由来の副生水素および天然ガスから生産されるブルー水素をMCHに変換し、日本に輸出することを対象にフィージビリティスタディを実施。
詳細は、ニュースリリース参照。
日米水素サプライチェーン構築へ向けた資本参画 米国 メキシコ湾におけるコスト競争力のあるクリーン水素製造およびMCHの日本への輸出に関する事業化可能性について検証を進めるため、米国企業 MVCE社(正式名称:MVCE Gulf Coast, LLC)に資本参画。
詳細は、ニュースリリース参照。

日本国内

プロジェクト(地域) 事業概要
NEDOグリーンイノベーション基金事業への採択 CO2フリー水素サプライチェーンの構築に向けて実施する、①MCHサプライチェーンの大規模実証、②直接MCH電解合成(Direct MCH®)技術開発、③水素発電技術(専燃)実機実証、④液化水素サプライチェーンの商用化実証の計4件の実証事業が、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業」として採択。実証期間は2030年度末まで(④のみ2029年度末まで)を予定。
詳細は、ニュースリリース参照。
・実証事業①~④(4件)に関するニュースリリース
・実証事業④に関する川崎重工業(株)および岩谷産業(株)との連名ニュースリリース
京浜臨海部における大規模水素利用の本格検討 川崎臨港部を中心とした地域において、主に水素需要家としての視点から需要量の推計、関連する技術開発の動向把握、水素供給事業者・機器メーカー・供給企業等との連携などの検討を進める。
詳細は、ニュースリリース参照。
Woven Cityにおけるトヨタ自動車との水素エネルギー利活用検討
(静岡県裾野市)
水素ステーションの建設・運営、水素ステーションでのCO2フリー水素の製造、水素ステーションからWoven Cityおよび燃料電池自動車への水素供給に着手する。さらに、水素の需給管理システムについて具体的な検討を進める。
詳細は、ニュースリリース参照。
水素ステーションの整備 日本全国における水素ステーションは約160カ所あり、このうちENEOSは35カ所(2024年7月末時点)の水素ステーションを運営。水素ステーションの戦略的な整備を目指して、2018年2月に自動車メーカーとインフラ事業者、金融投資家等が設立した「日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM)」に参画し、オールジャパンでの協業により、戦略的な水素ステーションの整備と効率的な運営に取り組む。
詳細は、ニュースリリース参照。
水素ステーション内で製造したCO2フリー水素(再エネ由来)の商用販売(国内初)
(横浜市旭区)
水素ステーション内の太陽光パネルで発電した電力とENEOSグループから調達した再エネ電力を使用して水を電気分解することによって製造したCO2フリー水素を販売。水電解装置の運転を再エネ発電量や水素需要の状況に応じて最適に制御する水素EMSを2021年度に導入。
将来的には、水素EMSとさまざまなエネルギーリソースを遠隔制御するVPP(バーチャルパワープラント)を連携させることにより、安価な電気代でのCO2フリー水素の製造を目指す。
詳細は、ニュースリリース参照。
羽田空港および周辺地域の水素利用調査 海外で製造した水素を川崎臨海部に輸入し、需要地である羽田空港周辺まで輸送するモデルによる水素供給ポテンシャルの調査、羽田空港施設内の電気・熱・GSE車両への水素利活用および周辺地域の水素利活用による水素需要ポテンシャルの調査等を実施する。
詳細は、ニュースリリース参照。
北海道大規模グリーン水素サプライチェーン構築事業 国内最大規模となる国産グリーン水素サプライチェーン構築に向けて、2024年2月に出光興産(株)および北海道電力(株)と共同検討を行うことに合意し、覚書を交換。
2030年頃までに北海道苫小牧西部エリアにおいて、国内最大となる約1万トン/年以上のグリーン水素を製造できる水電解プラント(100MW以上)を建設し、製造したグリーン水素を地域の工場などにパイプラインで供給するサプライチェーンの構築を目指す。
詳細は、ニュースリリース参照。
大阪湾岸部におけるグリーン水素を活用した国産e-メタンの大規模製造に関する共同検討 国産e-メタンの大規模製造に向けて、海外で製造したグリーン水素を大阪ガス(株)に供給し、同社が国内で回収したCO2とグリーン水素をメタネーションすることでe-メタンを製造し、都市ガスとしての供給を目指す。
詳細は、ニュースリリース参照。
水島コンビナートにおけるCO2フリー水素の利活用に関する共同検討 ENEOSは水島製油所において水素の受入・貯蔵・供給に向けて検討を行い、JFEスチール(株)の西日本製鉄所(倉敷地区)における試験炉や製鉄所内の燃料用途として必要とされる水素を供給することを目指す。
詳細は、ニュースリリース参照。

CCS事業の推進

当社グループは、2050年カーボンニュートラルを目指す政府や、その実現に向けて積極的に取り組むさまざまな事業者と連携し、国内初の大規模CCS事業を2030年度に開始すべく準備を進めています。
当社グループの石油・天然ガス開発事業では、米国テキサス州において、火力発電所の排ガスから回収したCO2を地中に圧入するCCS/CCUS事業を2016年から商用化しており、地層評価やCO2圧入等に関する技術や知識をすでに有しています。これらのノウハウを最大限活用すると同時に他企業とも協業しながらスケールアップやコストの最小化を推し進め、本格的なCCSの実装を目指します。

CCS事業関連の活動

開始時期 事業会社 活動内容
2023年2月 ENEOS、ENEOS Xplora 電源開発(株)、ENEOS、ENEOS Xploraの3社共同で、西日本におけるCO2の貯留検討を目的とした西日本カーボン貯留調査を設立
2023年3月 ENEOS Xplora CO2貯留に必要な海洋掘削技術を保有する日本海洋掘削の株式を取得
2023年8月 ENEOS、ENEOS Xplora 令和5年度(独)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)「先進的CCS事業の実施に係る調査」の受託先に電源開発(株)とともに選定
2023年12月 ENEOS、ENEOS Xplora 日豪間の CCS バリューチェーン構築に向けた Santos社との共同検討を開始
2024年3月 ENEOS Xplora CCS バリューチェーン構築に向けた Chevron New Energies社との共同検討を開始
2024年3月 ENEOS、ENEOS Xplora 三菱商事(株)、PETRONAS CCS Solutions社、ENEOS、ENEOS Xploraの4社で、東京湾を排出源とする海外 CCS バリューチェーン構築に向けた検討に関する覚書を交換
2024年9月 ENEOS、ENEOS Xplora 令和6年度(独)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)「先進的CCS事業に係る設計作業等」において当社プロジェクトであるマレー半島沖北部PJが採択
2024年10月 ENEOS、ENEOS Xplora 令和6年度(独)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)「先進的CCS事業に係る設計作業等」において当社プロジェクトである九州西部沖PJが採択

ENEOSの国内CCSバリューチェーン

CO2-EOR技術・CCS技術を活用した石油・ガス開発

ENEOS Xploraは、CO2の排出削減に配慮しながら事業活動を推進しています。
米国テキサス州において、火力発電所の燃焼排ガスから回収したCO2を老朽化した油田に圧入するプロジェクトに取り組んでいます。このプロジェクトでは、2017年4月からの累計で430万トンのCO2を油田に圧入しており、CO2-EOR(Enhanced Oil Recovery:石油増進回収)技術による原油増産効果に加え、温室効果ガスの排出削減に大きく貢献しています。
また2024年3月に、マレーシアの国営石油会社ペトロナスおよびペトロナスが100%出資するチャリガリとの間で、マレー半島沖合の高濃度CO2を含む未開発の5ガス田群の生産分与計画を締結、さらにチャリガリと共同操業協定を締結しました。これは、従来型の開発と、ガス田から回収したCO2を再度地下に圧入するCCSとを組み合わせるもので、低炭素の石油・天然ガス開発を目指します。

CO2回収プラント(米国テキサス州)

森林吸収(CO2の自然吸収増加)

当社グループは、重要なCO2除去手段として森林等の自然吸収を活用します。2040年度の当社排出分におけるカーボンニュートラル実現に向け、国内外において森林由来のカーボンクレジットを創出し活用する取り組みを推進しています。

森林吸収プロジェクト

地域 開始時期 内容
国内 2022年1月 愛媛県久万高原町とJ-クレジット*創出に関する連携協定を締結
2022年11月 (公社)新潟県農林公社とJ-クレジット創出に関する連携協定を締結
2023年11月 日本生命保険(相)と共同で北海道森町とJ-クレジット創出に関する連携協定を締結
2024年6月 (一社)わかやま森林と緑の公社とJ-クレジット創出に関する連携協定を締結
海外 2023年7月 住友林業グループが組成する米国森林ファンドEastwood Climate Smart Forestry Fund I へ出資
  • *省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の温室効果ガスの排出削減量や、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度。