環境汚染防止

基本的な考え方

ENEOSグループは、関係法令等の遵守はもとより、さらなる環境汚染物質の排出抑制や水資源の有効利用等を推進することで、水・土壌・大気等の自然資本の維持・保全に努めています。
環境汚染防止については、グループ各社の環境マネジメントシステム(EMS)にのっとり、著しい環境側面として抽出された項目について設備改善や緊急時の対応訓練等を実施し、リスクの低減を継続的に実施しています。

体制

体制(EMS)については、環境マネジメントをご参照ください。

重点課題と計画・実績

2022年度の目標と結果・進捗

評価:達成・順調未達

ESG重点課題 取り組み項目 目標(KPI) 結果・進捗
水リスクの適切な把握・管理 水質汚濁防止の徹底 重大環境トラブル:ゼロ
重大遵法トラブル:ゼロ

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水リスクの特定と対応方針の検討 製造拠点におけるリスクの把握
(対象拠点の追加)

  • 製造拠点(20拠点)等の水リスクについて調査し、高リスク拠点がないことを確認
  • 海外拠点(7拠点)を対象へ追加して調査し、操業に影響を及ぼす水リスクがないことを確認
大気汚染物質の排出抑制 大気汚染防止の徹底 重大環境トラブル:ゼロ
重大遵法トラブル:ゼロ

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主な取り組み

法定水準よりも厳しい目標・自主基準の設定とその遵守

ENEOSの製油所・製造所では、地方自治体との間で自主的に公害防止協定を締結しています。それらの協定の中で、環境汚染の回避・低減や排水の水質に関して、法令に定める基準値よりも厳しい目標値を設定し、遵守しています。
2022年度において、重大な漏出はありませんでした。

大気汚染の防止

  • マークについては編集方針をご確認ください。

SOx(硫黄酸化物)の排出抑制

排煙脱硫装置

SOxは、酸性雨の原因物質とされ、主に燃焼設備からの排ガスの成分として大気に放出されます。 当社グループでは、硫黄分の少ない燃料の使用、排煙脱硫装置による硫黄酸化物の除去、自主基準による排出管理等を実施しています。
2022年度の排出量は、ほぼ前年度並みの11千トンでした。

NOx(窒素酸化物)の排出抑制

排煙脱硝装置

NOxもSOxと同様に、酸性雨の原因物質とされ、主に燃焼設備からの排ガスの成分として大気に放出されます。
当社グループでは、燃焼設備での低NOxボイラー使用、排煙脱硝装置による窒素酸化物の分解、自主基準による排出管理等を実施しています。
2022年度の排出量は、ほぼ前年度並みの13千トンでした。

VOC(揮発性有機化合物)の排出抑制

VOCは、NOxと太陽の紫外線により光化学反応を起こして光化学オキシダント生成の原因になると考えられており、石油製品の貯蔵設備等から排出されます。
当社グループでは、貯蔵設備やローリー積み込み設備に回収装置を設置しています。
2022年度の排出量は、前年度から微増の12.1千トンでした。

VOC(揮発性有機化合物)回収の推進

タンクローリーからサービスステーションのタンクにガソリン等を受け入れる際、炭化水素を含んだVOC(ベーパー)が排出されます。このVOCは光化学オキシダントの生成要因となるだけでなく、近隣への悪臭被害や、お客様や従業員の健康に影響を与える恐れもあります。
ENEOSでは、サービスステーションのタンク通気管に回収装置を設置し、VOCを大気中に放出することなく、タンクローリーに回収する方式を推進しています。
ENEOSのグループ会社のENEOS喜入基地では、原油をタンカーに積み込む際に、タンカー内のガスを放出せずに回収し、ガス中に含まれるVOCを原油に吸収させることで再利用しています。吸収されなかったガスは、臭気成分を含めて分解しています。
この仕組みは、ENEOSグループが世界で初めて実用化したもので、環境対策とエネルギーの有効利用に大きく寄与する技術です。

製油所におけるVOCの排出と抑制対策

水資源の有効利用と水質汚濁の防止

  • マークについては編集方針をご確認ください。

水資源の有効利用

当社グループは、主要な事業拠点に環境マネジメントシステム(EMS)を整備・運用しており、水使用における環境影響を適切に評価し、対応しています。

水使用の状況

当社グループが使用する水の約90%は海水であり、主に製油所や製錬所における発電設備の運転・冷却等に使用しています。
2022年度の水の使用量は15.7億トンでした。また、排水量は14.6億トンでした。
当社グループでは、製油所で使用する水の大部分を占める冷却水の約97%を循環使用するとともに、製錬所で使用する冷却水の一部を海水から循環水に変更することで、水使用量の削減を図っています。

ENEOSグループ水使用量

  • 上記に関連する詳細データについては、データ編をご参照ください。

ENEOSグループ排水量

  • 地下水・井戸への排水量、場外水処理施設への排水量、利水・その他の使用に対する排水量は、いずれもゼロです。
  • 各項目の数値は四捨五入しているため、合計値が合わない場合があります。
  • 上記に関連する詳細データについては、データ編をご参照ください。
水リスクへの対応

当社グループは、世界資源研究所(WRI)の水リスクマッピングツール「Aqueduct」などを用いて、製造拠点が水リスクの高い地域に含まれていないことの確認を進めています。
2021年度に、製造拠点(21拠点)等の⽔リスクを評価し、高リスク拠点がないことを確認しています。2022年度は、そのうち20拠点の再評価を行うとともに、新たに主要な海外製造7拠点を評価しました。
その結果、PT. JX Nippon Oil & Energy Lubricants Indonesia (インドネシア)について、水質の「沿岸栄養化ポテンシャル」の面で高リスクと評価されました。しかし、当該工場では、放流先の水質にかかる環境影響が特定され、現地の規制基準の遵守を含めてISO14001に基づく管理体制が構築されていることから、水質への影響は低減された状態です。当該工場の操業を変更するような大きな影響はないものと整理しています。
また、渇水リスクの高いチリのカセロネス銅鉱山では、生産工程で使用する水の約80%をリサイクルしており、鉱石処理1トン当たりの水使用量はチリ国内で稼働中の鉱山としては最少水準です。
世界的に水資源の保全や管理が注視されているなか、今後の方針として、リスク把握の結果を3年ごとに見直すとともに、対象拠点の拡大等に伴い新たにリスクの高い指標が確認された場合には、外部機関から詳細情報を入手したうえで操業影響を評価します。

水質汚濁物質の排出抑制

当社グループは、排水処理設備を定期的に維持管理するとともに、自主基準に基づき、排水中の汚濁物質を管理・監視しています。なお、当社グループの自主基準は、水質汚濁防止法などの法令、条例・協定よりも厳しいものです。
また、製油所や製錬所以外でも、休廃止鉱山における坑廃水の無害化処理を継続的に行っています。
2022年度、製造拠点における水質汚濁防止に関する法令・自主基準への違反および油流出を含む重大事故は、0(ゼロ)でした。

休廃止鉱山の管理

JX金属グループでは、所管する休廃止鉱山の管理として、坑廃水の無害化および堆積場や坑道などの維持・保全を実施しています。
坑廃水は、雨水などが鉱山に残る鉱石や堆積場の捨石・鉱さいなどに接触することによって、金属を含む強酸性となるため、1日たりとも休むことなく処理を行う必要があります。また、堆積場については、最近の線状降水帯による豪雨や大規模地震に対応するための工事を進めています。
こうした休廃止鉱山の管理により、自然環境の保全に努めています。

豊羽鉱山 本山坑廃水処理場の様子
花輪鉱山 坑道点検の様子

閉山計画の策定

JX金属グループでは、鉱山の閉山時における周辺地域の環境・社会への影響を最小化することが重要と考えています。稼働中のカセロネス銅鉱山については、関係当局、地域コミュニティ等のステークホルダーとの対話を通じて閉山計画を策定したうえ、必要な対策を実施するための財政的な準備などを実施することにより、閉山時の適切な対応を担保しています。

海洋汚染の防止

原油の海上輸送においては、国際海事機関(IMO)が定めたマルポール条約(油による環境汚染の防止処置や廃棄物の海洋投棄の禁止等を規定)を遵守することが求められています。
当社グループでは、この条約の遵守にとどまらず、条約で認められている焼却灰の海洋投棄処分を行わずに持ち帰り、陸上処分するなど、海洋汚染の防止に努めています。
また、ENEOSでは、IMOによる2020年1月からの世界的な環境規制導入に伴い、新たな低硫黄船舶用燃料の製造方法を確立し、出荷体制を整えました。

土壌汚染対策

ENEOSでは、製油所、油槽所およびサービスステーション等の社有地を中心に、土壌汚染および地下水汚染の可能性がある土地について、計画的な調査を実施しています。
汚染が発覚した場合は、その状況に応じて適切な対策を実施しています。
また、グループ会社のNIPPOでは、汚染状況に応じた最適な浄化対策事業に取り組んでいます。

土壌汚染調査・対策実績(2022年度)

  件数 費用(百万円)
土壌調査 61 262
土壌汚染対策 25 506
  • ENEOSのサービスステーション・油槽所等の土地取引にかかる対応物件。
  • 2022年度土壌汚染の公表物件は1件でした。