人権

基本的な考え方

ENEOSグループは、グローバルに事業を展開する企業グループとして、従業員を含むすべてのステークホルダーの人権を尊重することが、持続的な社会の発展に貢献していくうえで根本的かつ必須の重要テーマであると考えています。
当社グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、国際労働機関(ILO)の中核的労働基準(「結社の自由および団体交渉権の効果的な承認」「あらゆる形態の強制労働の禁止」「児童労働の実効的な廃止」「雇用および職業における差別の排除」)、「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」等の国際規範を支持しています。
また、従業員に限らず、サプライヤー、お客様、お取引先、地域社会等のさまざまなステークホルダーの方々の人権を尊重し、事業活動を進めています。

ENEOSグループ行動基準(抜粋)
  1. 5.人権尊重
    1. (1)私たちは、人権に関する国際規範を尊重し、性別、年齢、国籍、人種、民族、皮膚の色、文化、思想、宗教、信条、政治的見解、性的指向、障がいの有無といった違いを十分認識のうえ、その多様性を尊重し、人権を侵害しません。
    2. (2)私たちは、内容の如何を問わず、差別・ハラスメントを行いません。
    3. (3)私たちは、強制労働・児童労働を行いません。
    4. (4)私たちは、紛争の長期化や人権侵害、非人道的行為の拡大につながる取引を行いません。

人権ポリシー

当社グループは、人権尊重の基本原則をグループ行動基準に定めるとともに、これを補完する人権ポリシーを制定しています。当社グループの事業活動に関連するすべてのビジネスパートナーに対して理解・協力を要請し、これらの周知徹底と遵守に努めています。

ENEOSグループ人権ポリシー

ENEOSグループは、エネルギー・資源・素材における創造と革新を通じた社会の発展と活力ある未来づくりに貢献するというグループ理念のもと、事業活動を推進しています。
人権尊重の取り組みをグループ全体で推進し、その責務を果たしていく指針として、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、本ポリシーを定めます。

1.基本的な考え方
ENEOSグループは、事業活動を行うすべての国・地域において、人権が尊重されなければならないと認識しています。
2.適用法令の遵守
ENEOSグループは、事業活動を行うそれぞれの国・地域で適用される法令および規制を遵守します。また、国際的に認められた人権と各国・地域の法令の間に矛盾がある場合は、国際的な人権原則を尊重するための方法を追求していきます。
3.国際的な人権規約の尊重
ENEOSグループは、すべての人びとの基本的人権について規定した国連「国際人権章典」(「世界人権宣言」、「市民的および政治的権利に関する国際規約」および「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」)や、労働における基本的権利を規定した国際労働機関(ILO)の「労働における基本原則及び権利に関するILO宣言」、「賃金や労働時間など労働者の人権に関する条約」、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」および「子どもの権利とビジネスの原則」等の人権に関する国際規範を支持し、尊重しています。加えて、国連グローバル・コンパクト署名企業として「国連グローバル・コンパクト10原則」を支持し、尊重しています。
4.人権尊重の責任の遂行
ENEOSグループは、人権そのものを侵害しないことはもちろんのこと、自らの事業活動において人権に対する負の影響が生じていることが判明した場合は、是正に向けて適切な対応をとり、人権尊重の責任を果たして参ります。その一環として、ENEOSグループは、以下の取り組みを推進します。
人権デュー・ディリジェンス
ENEOSグループは、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、これを継続的に実施します。人権デュー・ディリジェンスとは、自社が社会に与えうる人権への負の影響を防止または軽減するため、予防的に調査・把握を行い、適切な手段を通じて是正し、その進捗ならびに結果について外部に開示する継続的なプロセスを言います。
対話・協議
ENEOSグループは、自社が人権に及ぼす影響について、影響を受ける人々の視点から理解し、対処できるよう、関連するステークホルダーとの対話と協議を真摯に行います。
5.教育
ENEOSグループは、本ポリシーがENEOSグループすべての会社における事業活動に組み込まれるよう、自らの役員と従業員に対し、適切な教育を行います。
6.情報開示
本ポリシーに基づく人権尊重の取り組みの進捗状況や結果を、ウェブサイトや報告書等で開示します。
7.適用範囲
本ポリシーは、ENEOSグループすべての役員と従業員に適用します。また、ENEOSグループの事業活動に関連するすべてのビジネスパートナーに対しても、本ポリシーの理解・協力を求めます。
8.位置づけ
本ポリシーは、ENEOSグループ理念およびENEOSグループ行動基準の定めを補完するものです。

以上

体制

体制については、「ESG経営推進体制」をご参照ください。

ビジネスと人権に対する社内体制

当社グループでは、人権デュー・ディリジェンスで受領する第三者意見およびCorporate Human Rights Benchmark(CHRB)の評価結果を踏まえ、当社の経営企画部および人事部が主導して当社グループにおける人権への取り組みを強化しています。
業務の概要は以下のとおりです。

業務 担当部署(内訳)
各種相談窓口(人権、障がい者、性的マイノリティ)、人権の啓発(社内研修) 人事部
部長1名、副部長1名、担当グループ11名
人権デュー・ディリジェンス企画 経営企画部
部長1名、副部長1名、担当グループ7名

重点課題と目標・実績

2022年度の目標と結果・進捗

評価:達成・順調未達

ESG重点課題 取り組み項目 目標(KPI) 結果・進捗
国際的な人権原則の遵守 人権デュー・ディリジェンスの実施 サプライヤーにおける技能実習生の調査と対応方針の策定

  • 調査を実施
  • 対応方針を策定
人権の啓発 人権研修の実施

一部対象会社で、研修内容見直しにより、実施時期を2023年度上期に変更したため未達

主な取り組み

国連グローバル・コンパクトへの参画

ENEOSホールディングス、ENEOS、JX石油開発、JX金属の4社は、国連グローバル・コンパクトを支持し、人権を含む4分野10原則の実現に努めています。
また、日本政府が2020年に策定した「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020ー2025)(National Action Plan)」を支持するとともに、その実践を通じて人権尊重にかかわる責任ある企業行動の促進に努めています。

Corporate Human Rights Benchmark(CHRB)

当社グループは、2019年からCHRBの評価対象となり、継続的に「ビジネスと人権」をテーマに意見交換を行っています。
CHRBの評価および意見交換を踏まえ、2020年度から、サプライチェーンマネジメントに関連する人権要素の考慮(詳細は、「人権デュー・ディリジェンス」を参照」)について重点的に取り組んでいます。
今後も、CHRBの設問項目に十分対応できるよう、「ビジネスと人権」への取り組みを進めるほか、情報開示を積極的に進めていきます。

  • 評価結果については、CHRBのウェブサイトをご参照ください。

人権研修やeラーニングによる啓発活動

グループ各社では、人権意識の向上と職場における人権侵害の発生防止を目的として、すべての役員・従業員を対象に人権啓発研修やeラーニングを継続しています。研修では日本政府が策定した「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020ー2025)」の中で特定された人権侵害リスクの理解促進も取り入れています。

先住民の権利に関する方針・原則・規範

先住民の権利に関して、当社グループは人権に関する各種の国際規範を支持し、尊重しています。

<支持・尊重する主な人権関連国際規範>

  • 国連「国際人権章典」(-「世界人権宣言」「市民的および政治的権利に関する国際規約」「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」)
  • 同 「国連グローバル・コンパクト10原則」
  • 国際労働機関(ILO)「労働における基本原則及び権利に関するILO宣言」
  •     同     「賃金や労働時間など労働者の人権に関する条約」
  • 国連「先住民族の権利に関する国際連合宣言」
  • 同 「子どもの権利とビジネスの原則」
鉱山開発と地域住民の人権尊重
住民説明会の様子

鉱山の開発や運営は、周辺環境に与える影響がとりわけ大きいことから、地域住民の人権に十分に配慮する必要があります。
カセロネス銅鉱山を運営するSCM Minera Lumina Copper Chileでは、地域社会支援の基本方針として「住民生活の尊重」「コミュニティと環境の保護」「現行法の遵守」を掲げています。この方針のもと、鉱山の周辺地域で生活する先住民であるコジャ族と、プロジェクト開始当初の2007年から説明会の開催や意見の聴取を通じて、信頼関係の構築に努めています。
2022年度も住民の権利を侵害する事例はありませんでした。

「UK Modern Slavery Act 2015」への対応

ENEOSのグループ会社のENEOS Europe Limitedは、2015年10月に施行された英国法「UK Modern Slavery Act 2015」への対応として、ステートメントを開示しています。

  • 詳細は以下をご参照ください。

ビジネスと人権への取り組み

人権デュー・ディリジェンス

当社グループは、人権デュー・ディリジェンス、サプライチェーンにおけるCSR調達アンケート、そして人権への負の影響が疑われた場合の対応フローという3つの仕組みを通じて、網羅的に人権リスクの把握に努めています。

1.当社・グループ会社を対象とした人権デュー・ディリジェンス

当社グループは、2019年度から隔年で国連「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGP)に沿った人権デュー・ディリジェンスを実施しています。事業活動における人権侵害リスク範囲の特定と評価、改善策立案、教育の仕組み構築を内容とするものです。
2021年度に実施した第2回人権デュー・ディリジェンスにおいて、第1回に続き、従業員、お客様のほか、製油所・製錬所とサービスステーションの周辺住民、サプライヤーを対象として、当社グループによる人権侵害の有無を評価・検証しました。また、第2回の人権デュー・ディリジェンスにおいては、NGOヒューマンライツ・ナウに加え、ENEOSおよびJX金属の労働組合員ともエンゲージメントを実施し、その結果を踏まえて当社グループの人権リスクを評価・検証しました。対応すべき人権リスクを特定し、その対応策を策定しました。

人権リスクの調査範囲のスコーピング
人権デュー・ディリジェンスの実施にあたっては、UNGPのほか「人権デュー・ディリジェンスのためのガイダンス」(日本弁護士連合会)およびNGOの意見を参考に、評価・検証する人権リスクの範囲をスコーピングしています(下表をご参照ください)。

人権デュー・ディリジェンスにおいて確認する人権課題

ステークホルダー 人権課題
従業員 ハラスメント 労働時間管理
差別 健康
安全 ワークライフバランス*
結社の自由(団結権・団体交渉権)* 公正かつ良好な労働基準*
サプライヤー サプライヤーによる人権侵害事象の発生
顧客・取引先 品質不良(コンタミネーション含む) 不適切な商品情報の提供
不適切な商品化学物質管理 情報セキュリティ(プライバシー)
地域社会 環境(地球の環境破壊、健康被害、事故被害含む)
  • *2021年度実施の第2回人権デュー・ディリジェンスで追加した人権リスクです。

人権デュー・ディリジェンスにおいて検証した権利

  • ILOの中核的労働基準(「結社の自由および団体交渉権の効果的な承認」「あらゆる形態の強制労働の禁止」「児童労働の実効的な廃止」「雇用および職業における差別の排除」)
  • 労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)
  • 強制労働を課されない権利
  • あらゆるハラスメントを受けない権利
  • 安全衛生な労働環境で働く権利
  • 差別を受けない権利
  • 外国人労働者の権利
  • 移民の権利
  • 障がい者の権利
  • 女性の権利
  • セクシャルマイノリティの権利
  • 救済措置へアクセスする権利
  • 社会保障
  • 児童労働禁止
  • 資源へのアクセス権
  • 健康に関する権利

<対応すべき人権リスク>

  • 1)サプライチェーンにおける技能実習生に関する潜在的な人権リスク
  • 2)サプライヤーの救済にアクセスする権利の不十分性

<対応策および取り組み>

  • 1)技能実習生の調査および対応方針の策定
    2022年度に実施したCSR調達アンケート内で外国人技能実習生の把握を行いました。外国人技能実習生の在籍が認められたサプライヤーには、今後、実態を調査し、その結果、人権リスクの可能性がある場合は現地監査などのフォローアップを予定しています。
  • 2)苦情処理メカニズムの拡充
    2022年度にサプライヤー向け人権相談窓口を開設しました。

リスクマネジメントについて
当社グループが運用している全社的なリスクマネジメントシステム(ERM)(リスクマネジメント参照)においても、当社グループを取り巻くさまざまなリスクを抽出しています。それらのリスクの中には、ハラスメント、児童労働、強制労働等の項目も含まれており、人権デュー・ディリジェンス以外にも、人権に対する影響について継続的に評価する枠組みを構築しています。

人権デュー・ディリジェンスのサイクル

人権リスク調査の対象となるステークホルダー・人権リスクのスコーピング
人権リスクの評価・検証
①でスコーピングした各人権リスクに対し、業務を通じた人権侵害を行っていないか、各部で自己評価
評価後、外部専門家に確認を依頼し、対応を優先すべき人権リスクを特定
今後の対応策検討
自己評価の結果および外部専門家の意見を踏まえ、対応を優先すべき人権リスクに対する対応策を検討
対応策の導入
検討を踏まえ対応策を導入
2023年度(予定):
第三者の意見も取り入れながら、主要な事業バリューチェーン上の人権リスク把握を推進
開示
対応について報告
2022年度の状況と今後の計画

2023年11月時点で、主要な事業バリューチェーン上においては、重大な人権侵害事例は発生していません。当社グループが事業活動をするにあたり、万一人権を侵害する事態が生じた場合は、法令に基づき、また関係当局の指導も受けて速やかに是正・救済の措置をとるとともに、再発防止に努めます。
2023年度に、第3回の人権デュー・ディリジェンスを実施する予定です。第三者の意見も取り入れながら、主要な事業バリューチェーン上の人権リスクの把握を進めます。2021年度に続き、2023年度の第3回人権デュー・ディリジェンスにおいても第三者検証を受ける計画です。
また、今後は、高リスク国・高リスク事業を特定し、そこに対し優先的に人権デュー・ディリジェンスを実施するなど、より実効性の高い人権デュー・ディリジェンスのあり方を追求していきます。

第三者意見

当社グループは、自社の人権リスクアセスメントについて、国際人権NGOに机上調査による第三者検証を依頼しています。2021年度に続き、2023年度の第3回人権デュー・ディリジェンスにおいても第三者検証を受ける計画です。
なお、2021年度の第三者意見書の概要(一部)は、以下のとおりです。

第三者意見書の概要(一部)(★は2019年度からの指摘項目)

2020年度に対応を実施した「サプライチェーンマネジメント」について、その取り組みの確実な前進については評価されましたが、今後さらに取り組むべき課題も示されました。

救済にアクセスする権利★
内部通報制度(ホットライン)における利用方法の一層の周知と利用促進
差別・ハラスメント★
発生防止のためのさらなる方針策定や研修の工夫
サプライチェーンマネジメント★
グループ行動基準の国内外のグループ会社・サプライヤーへの実効的な展開および海外も含めたバリューチェーン全体における人権リスクへの対応
Just Transition(公正な移行)
地球温暖化への取り組みによって生じうる人権リスクを踏まえた人権デュー・ディリジェンスの実施
紛争影響地域における人権
深刻な人権侵害発生地における加担を避けるための適切な対応、ステークホルダーとのエンゲージメントの実施

2.サプライチェーンにおけるCSR調達アンケート

当社グループは、2018年度から、サプライヤーのご協力のもとCSR調達アンケートを導入しています。当社グループの人権デュー・ディリジェンスで検証する事項をアンケート項目に含めることで、サプライヤーに対しても同等の人権デュー・ディリジェンスを実施するものです。これまでに大きな人権リスクは顕在化していませんが、改善が必要と思われるサプライヤーに対しては改善措置を働きかけています。2年に1度のペースで引き続き改善の進捗を確認していきます。 詳細は「サプライチェーンマネジメント」をご参照ください。

なお、従来は第1次サプライヤーに対して広くCSR調達アンケートによる調査を実施してきました。今後は、取引上の重要性やESGリスクの観点からサプライヤーを選定していくとともに、CSR調達アンケートを一連の人権デュー・ディリジェンスの端緒と位置付けて、その後の人権リスク調査のプロセスを充実させるなど、より実効性の高い人権リスク担保の仕組みを整備していく予定です。
こうした取り組みに加えて、JX金属グループでは、紛争鉱物への対応を行っています。 詳細は「紛争鉱物への対応」をご参照ください。

3.人権への負の影響が疑われた場合の対応

2021年度に取締役会の監督を受け、人権対応フローを策定しました。同フローは、当社グループが関与する人権への負の影響をタイムリーに特定・分析し、それを回避し軽減するための仕組みです。指導原則で求められている人権デュー・ディリジェンスの枠組みに則し、主に第三者による人権侵害に対して当社事業活動が及ぼす影響の観点から対応方針を決定するものです。
人権リスクが認められた場合には、随時、同フローに基づいて対応方針を決定し、半期に1度取締役会に報告します。引き続き、事業活動に関連する人権リスクに真摯に対応していきます。

<人権対応フロー概要>

  • 人権リスクの特定
    デスクトップリサーチや報道、外部からの指摘、社外とのエンゲージメント等により、第三者による人権侵害の有無、当該人権侵害に対する当社の加担の有無を判断
  • 対応策の検討
    加担があると判断される場合は働きかけまたは取引停止を検討

この対応フローに基づき、以下のとおり対応を決定しました。

JX石油開発によるミャンマー連邦共和国におけるイエタグンガス田事業の撤退
同国における社会課題への対応を含めた情勢およびガス田の評価に基づく事業性等を慎重に検討・協議した結果、2022年4月に事業撤退を決定。その後、撤退手続きを進め、2023年4月に同国政府の承認手続きが完了しました。

相談窓口(救済措置)について

当社グループは、事業活動において人権に関する影響があったことを確認した場合、その影響を受けた当事者を会社が救済することを、グループ行動基準、人権ポリシー等に則して約束しています。
人権侵害を含む、社内における相談窓口として「コンプライアンスホットライン」「人権・ハラスメント相談窓口」および「サプライヤー向け人権相談窓口」を用意しています。これらの相談窓口では、日常的に発生しうる人権問題から重大な人権侵害まで匿名で相談を受け付けています(対象:国内および海外、言語:日・英)。
コンプライアンスホットライン制度では、すべての通報案件を役員にメールで通知するとともに、半期ごとに対応状況を監査等委員・監査役に対し説明しています。同制度については、社内のイントラネットに掲示して周知を図っているほか、法務部が実施する研修会において毎回利用を促しています。
当然、これらの相談窓口に相談・通報することによって、通報者に不利益が生じることは一切なく、プライバシーは厳格に保護されるとともに、通報者への報復行為等は固く禁止しています。また、「コンプライアンスホットライン」および「人権・ハラスメント相談窓口」に相談された事案について、同じ事案を外部のいかなる救済措置によって解決を図ることも制限していませんので、各国の法制度(公益通報者保護法等)に従って他の救済手段を求めることもできます。
当社グループでは、案件ごとに調査を実施・対応しており、おおむね1年以内にはすべての案件を解決しています。ホットラインの通報フロー図はコンプライアンスをご参照ください。

労働条件の適切な労使間交渉

当社グループでは、最低毎年1回、従業員の代表(労働組合)と給与を含めた労働条件全般について交渉しており、新入社員の給与は、日本国内の最低賃金を大きく上回っています(団体交渉協定の対象となる全従業員の割合は、70.9%です。労働組合参加比率については、データ編参照)。
また、当社グループは、ILO中核的労働基準(「結社の自由および団体交渉権の効果的な承認」「あらゆる形態の強制労働の禁止」「児童労働の実効的な廃止」「雇用および職業における差別の排除」)を尊重しており、労働者の権利行使について、各国の法令に基づき保護しています。
ENEOSでは、労働協約上、事業所の閉鎖および閉鎖に準ずる縮小に伴って組合員の大量の転勤を行う場合は、事前にその基準を労働組合と協議します。組合員に対して、事業所の閉鎖および閉鎖に準ずる縮小を外部公表する時点で正式に通知することとしています。なお、労働組合と協議を行うべき内容や事前に通告すべき項目について、労使間で定めています。

強制労働・児童労働の防止

当社グループは、強制労働・児童労働の徹底的な排除の観点から、各国の法律はもとより、国連「国際人権章典」、国際労働機関(ILO)「労働における基本原則及び権利に関する ILO 宣言」および「賃金や労働時間など労働者の人権に関する条約」、ならびに、「子どもの権利とビジネスの原則」等の人権に関する国際規範を支持・尊重するとともに、国連グローバル・コンパクト署名企業として「国連グローバル・コンパクト 10 原則」を支持・尊重して います。この点はグループ人権ポリシーにも明記しています。
また、これを受け、グループ行動基準において、強制労働、児童労働を行わないことを明記し、本行動基準に則った事業を遂行することにより、強制労働・児童労働の排除に徹底して努めています。
さらに、サプライチェーンにおいてもグループ行動基準の遵守を推進するため、本行動基準の内容を反映したグループ調達方針および取引先調達ガイドラインを定め、サプライヤーに対してこれらの方針に基づく取り組みの実践を要請しています。この要請の実効性を担保するため、当社グループでは、サプライヤーに対する「これらの方針の遵守を重視し場合によっては取引の内容を見直すことがあること」の明示、これらの方針の遵守を約束したサプライヤーからの同意書取得などを実施しています。加えて、サプライヤーに対してCSR調達アンケートを実施し、その中に児童労働・強制労働等に関する調査項目を設け、改善が必要と思われるサプライヤーに対しては、改善措置を働きかけています。同アンケートは、今後、2年ごとに実施する予定であり、改善の進捗を継続して確認していきます。