基本的な考え方
ENEOSグループは、急速に変化する事業環境の中で成長戦略を実現するためには、創造と革新の精神を持ち、グローバルに挑戦し続ける人材の育成が重要な課題であると捉えています。このような考え方のもと、人材育成に関する基本原則をグループ行動基準およびグループ人材育成基本方針に定めるとともに、採用、配置、評価、昇格、教育の各フェーズにおいて、一貫性のある人材育成体制の整備を進めています。
また、グループ各社は、グループ行動基準およびグループ人材育成基本方針に基づき、それぞれの事業方針に沿った人材育成を行っています。
ENEOSグループ行動基準(抜粋)
- 12.健全な職場環境の確立
- (1)私たちは、適切な健康管理・ワークライフバランス等の推進により、職場でいきいきと働くとともに、自らおよびその家族ならびに職場の仲間が、健康で文化的な生活をおくれるよう努めます。
- (2)私たちは、多様な個人が最大限に力を発揮できるよう、ダイバーシティを推進します。
- (3)私たちは、相互の対話および円滑な意思疎通を通じて、働きやすい職場環境を確保・維持するよう努めます。
- (4)私たちは、人材の育成に努め、自らおよびお互いの能力伸長を図ります。
- (5)私たちは、事業活動に従事する間に宗教活動、政治的活動およびこれに類する活動を行う場合は、事前に決裁権者による確認・承認を得ることとします。
ENEOSグループ人材育成基本方針
創造と革新の精神を持ってグローバルに挑戦し続ける人材を確保すべく、継続的かつ計画的に育成する。
会社は、グループの「使命」、「大切にしたい価値観」をしっかりと認識し、高い倫理観とチャレンジ精神を持った従業員を大切に育成していきます。
経営基盤強化のため、中長期的な企業価値向上の実現を担う人材を育成する。
会社には、その事業形態や組織に応じて、さまざまな機能、役割が存在します。そのすべてが会社運営にとって欠かせないものであり、すべての従業員が持てる力を最大限に発揮して組織に貢献できるよう適切な育成を進めていきます。
全従業員一人ひとりの適性に合わせた多様な育成・成長を図り、自主的に成長を目指す従業員を積極的に支援する体制を整える。
多様な人材の成長を支えることが会社組織の活性化、ひいては競争力の強化につながると考えています。従業員一人ひとりの個性を尊重し、その適性に合わせ各人の自主的な成長を支援します。
体制
体制については、「ESG経営推進体制」をご参照ください。
重点課題と目標・実績
2024年度の目標と結果・進捗
評価:達成・順調未達
| ESG重点課題 | 取り組み項目 | 目標(KPI) | 結果・進捗状況 | |
|---|---|---|---|---|
| 人材の確保・育成 | 企業価値向上を担う人材の確保 |
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| 企業価値向上を担う人材の育成 | 人材の見える化により経営人材を戦略的に配置・育成する仕組みの整備 | ENEOSホールディングスにて仕組みの整備完了 主要な事業会社各社においても展開済み |
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主な取り組み
当社グループは、グループ行動基準およびグループ人材育成基本方針に基づき、グループ各社が、それぞれの事業方針に沿った育成プログラムを展開しています。
経営人材の育成
不確実性に対してより機動的かつ柔軟に対応していくためには、非連続な時代においても会社の方向性を見定めて経営の舵取りを担える強いリーダーを、従来以上に戦略的に育成していく必要があります。
ENEOSホールディングスおよび主要な事業会社は、経営人材の育成を各社共通の課題として取り組みます。
選抜基準を明確化して公正な登用を行い、早期から戦略的な人材育成を実施することで、将来の経営幹部として十分に力を発揮できるよう育成を進めています。
経営人材の選抜・育成フロー
- ※適用対象範囲: ENEOSホールディングスおよび主要な事業会社。
主な人材育成プログラム
主要な事業会社における主な人材育成プログラム
| 事業会社 | プログラム名 | 内容 |
|---|---|---|
| ENEOS | ||
| グローバル人材育成施策 | 海外のビジネス現場に即応できる異文化対応力を身につけるための教育として、英語上級者を約1カ月間マレーシア・ベトナムに派遣。また語学力向上のため、日本国内でも語学研修の受講機会を広く提供 | |
| M&A研修 | 事業ポートフォリオの転換を推進できる人材を育成するために、M&Aの基礎から戦略策定方法まで、実践的なスキル・知識を学ぶプログラムを実施 | |
| ベンチャー企業派遣研修 | 新規事業開発の担い手を育成するため、従業員を1年間ベンチャー企業へ派遣。事業立ち上げの実務経験・起業家との対峙を通じて、事業開発のスキル・マインドセットを磨く | |
| 評価フィードバック面談および自己申告面談 | 当該年度の業績に対して評価し、次期業務における課題や能力開発のポイントについて共有する面談を定期的に実施(正社員全員を対象)。また、各種人事制度を整備運用することで従業員の長期的なキャリアデザインや能力開発に関する希望を的確に聴取している。会社・上司がその考えを把握、理解したうえで、最適な配置・異動・育成を行うことを目的として定期的に面談を実施(全体の9割を占める正社員全員が面談) | |
| キャリアフォーラム | 従業員が長期的なキャリアデザインや能力開発に関する希望を申告する期間中に、社内各部門の業務内容やキャリアパスについて情報提供する「キャリアフォーラム」を毎年開催。従業員の自律的キャリア形成に活用されている | |
| ENEOS Xplora | ||
| 階層別研修 | 階層別の研修やコア人材を育成するための研修を実施 | |
| 海外現業所研修 | E&P(石油開発)事業の実務を現場で学びつつ現地業務に貢献できるよう、明確なコアテーマを設定し、海外現業所(現場を含む)への3~6カ月間の派遣を実施 | |
| 基礎知識習得プログラム | E&P事業に関連する技術や契約書、経済性計算等のほか、環境対応型事業や新規事業創出等に関する知識を身に付けるため、主に若手従業員やキャリア採用者を対象にしたプログラムを通年で実施。また、座学のみならず、巡検などの体験型学習の機会を提供 | |
| 人財育成面談 | 1年に1回、「人財育成カルテ」(必要スキルの習得状況等を記載)を更新のうえ、それを元に従業員と上司で面談を実施。過去1年間で身につけた知識・スキルを振り返るとともに、今後1年間の育成計画について共通認識を形成 | |
| キャリア開発面談 | 従業員本人の希望と会社のニーズを合致させ、中長期的なキャリア開発の実効性を高めるため、キャリアの節目で面談を実施。その上で、一人ひとりが「将来の自分像」を目指して挑戦を重ねることを、会社としてサポート | |
| ENEOSマテリアル | ||
| 階層別研修 | 新入社員から管理職層に至るまで、それぞれの役割に求められるマインドセットやスキルの習得を目指し、役割転換の節目で確実な成長を支援 | |
| CDP(Career Development Program)制度 | 入社後の10年間を「能力確立期」と位置付け、本人の希望をもとに複数の部署を経験することで、能力を最大限に引き出すことを目的とした中長期的なキャリア育成プログラム。学卒従業員を対象にキャリア開発研修と個別面談を実施し、従業員が自身のキャリアについて主体的に考える機会を提供 | |
| デジタルコア人材育成プログラム | ローコードツールや生成AI等のデジタルツールを活用して、現場の業務を自分たちで改善できる人材を育成するプログラム。ツール操作だけでなく、システム開発で「何を作るか」を考えるための教育も実施 | |
| ENEOS Power | ||
| 研修体系 | 各研修を「事業・制度理解」「専門性」「汎用性」のカテゴリーに区分し、対象者に通年で各種研修の受講を推奨 | |
| 資格取得奨励制度 | 実務で必要な資格の受験料を会社が支援 | |
| ENEOSリニューアブル・エナジー | ||
| 階層別研修 |
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| プロジェクトマネージャー育成 | 現場ならではのプロジェクトマネジメント知識・手法を、具体的な事例を通じて学ぶためのEREオリジナルプログラムを実施 | |
| キャリア自律支援 |
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- ※ENEOS Powerの従業員は、ENEOSからの出向者で構成されているため、同社従業員にはその他にENEOSの諸施策を適用。
年間研修実施状況(2024年度)
(時間)
| 総研修時間 | 従業員1人当たりの研修時間 | |
|---|---|---|
| ENEOSホールディングス・ENEOS | 492,979 | 57.7 |
| ENEOS Xplora | 9,003 | 22.9 |
| ENEOSマテリアル | 18,194 | 13.1 |
| ENEOS Power | 2,726 | 10.7 |
| ENEOSリニューアブル・エナジー | 4,115 | 11.7 |
| JX金属 | 40,054 | 12.2 |
| 合計 | 567,071 | 39.8 |
- ※ENEOSホールディングス、ENEOS、ENEOS Xplora、ENEOS Power、およびJX金属が実施したすべての研修と、ENEOSマテリアルの人事部門、ENEOS
リニューアブル・エナジーの人事部が実施したすべての研修を会社別に集計。
ナショナルスタッフ(海外の現地採用従業員)の育成
ENEOSでは、ナショナルスタッフを海外拠点の経営幹部として育成することで、海外ビジネスの展開をより強力に推進できるものと期待しています。将来の活躍が期待されるナショナルスタッフを海外拠点からENEOS本社に派遣し、本社での業務を経験させる取り組みを定期的に実施しています。
2024年度は業務の都合上実施を見送りましたが、2025年度には1名のナショナルスタッフを本社部門へ受け入れています。
従業員の自己啓発支援
当社グループは、学ぶ意欲のある従業員のスキルアップ・セルフラーニングを応援するため、主要な事業会社をはじめグループ会社の従業員を対象に、従業員が個々のニーズに応じた研修を選んで受講できるオープンセミナーを提供しています。
ENEOS Learning Platform
ENEOSでは、従業員の自律的キャリア形成に向けオンライン学習支援制度「ENEOS Learning Platform」を設けています。希望者が研修項目を選んで一定期間自由に利用でき、また一定の要件を満たすことで会社から50%の費用補助を受けられます。
第3次中期経営計画の人材戦略施策の一つとして、2023~2025年度の3年間で1,500名以上の利用を目標に掲げました。利用者数は2023・2024年度の2年間で累計1,205名であり、進捗率において目標を上回りました。また、利用者から「さまざまな研修から選んで自律的に学べた」等の声を得ています。
自律的学習支援
ENEOS Xploraでは「学びの時間の確保」等の方針を定めるとともに、学習支援システムやオンライン学習環境を従業員に提供しています。
自己啓発支援制度
ENEOSマテリアルでは、従業員一人ひとりの自律的な学びを後押しするため、動画学習プラットフォームを活用した「自己啓発支援制度」を展開しています。学ぶ意欲に応える環境整備を通じ、自己成長の習慣化とキャリア形成の自立をサポートしています。
デジタル(DX)人材の育成
当社グループは「確かな収益の礎の確立」と「エネルギートランジションの実現」に向けて、基盤事業、成長事業およびカーボンニュートラルの各領域でデジタルトランスフォーメーション(DX)による事業変革を加速させます。
それらを支える原動力として、デジタル人材の育成に注力し、従業員の自律的な能力向上と適材適所配置を促進しています。第3次中期経営計画(2023~2025年度)で掲げた高度デジタル人材2,000名という育成目標を、2024年度末に前倒しで達成しました(2024年度末時点実績:延べ2,700名)。
デジタル人材育成方針(概略)
ENEOSでは、2023年度から、レベル認定(レベル1~4の4段階)と人材類型(3類型)を導入しました。これにより、育成状況を可視化し、DXの実行・実践スキルを強化しています。
デジタルリテラシーの獲得を目的としたeラーニング教育を全従業員に実施することで、デジタルリテラシー人材化(レベル1)を目指します。また、高度デジタル人材(レベル2~4)の育成策として、ビジネスデザイナー*1、DXコーディネーター*2およびデータアナリスト*3の3類型を定め、類型ごとに研修と実践を組み合わせて、DXの中核を担う人材の育成を進めています。
2024年度には、実践経験を積んだレベル3人材の認定を開始し、2024年度末までに累計約40名を認定しました。2025年度からは育成した人材の実践機会創出・配置最適化をするとともに、デジタル人材育成の研修をより実践的な内容にアップデートすることで推進力を高めていきます。
- *1業務変革/ビジネスモデルの立案や、新規ビジネスの立ち上げ・マネタイズ、DX推進全体に一貫して関与・貢献する(2024年度末時点育成実績:約500名)。
- *2関係者の巻き込みを図り、適切な協力関係を構築しながら、製品・サービス/施策の具体化およびQCD(品質、コスト、納期)の担保を行う(2024年度末時点育成実績:約700名)。
- *3業務変革や新規ビジネスの創出に向けた仮説を立案し、データを活用して仮説の検証・示唆の導出を行う(2024年度末時点育成実績:約1,100名)。